私の両親は社内恋愛で結婚した。
父が28歳、母はなんと18歳の時だ。
隠してるけど、私が誕生する半年前に入籍しているので授かり婚だったようだ。
父は私を溺愛していた。
欲しいものはなんでも買ってくれた。
まぁ、よくある話だ。
母は私にやたらと習い事をさせたがった。
幼い頃からいろんな教室に通わされた。
母がお化粧をし黄色いワンピースを着て、出かけるよと私を連れ出した。
どこに行くのかな?今日のお母さん綺麗だな。
そんなことを考えていたのを今でも鮮明に覚えてる。
着いたのはピアノ教室だった。
その時初めて自分はピアノを習うのだと知った。
何故急にピアノを習うのかと母に聞くと、自分が習いたかったけど習わせてもらえなかったから、あなたにさせてあげるのよと言った。
その時はそんなものかと思った。
でも、特に興味があった訳ではないので全く上達しなかった。
練習なんかしなかったし、楽しいと思ったことは一度もなかった。
いつまで経ってもバイエルだったし、先生もお手上げだったと思う。
私のやる気のなさに辟易し、先生からこの子は他にもっと向いてる習い事がありますと母に言った。
せっかく習わせてあげてるのにおまえは馬鹿だと母に罵られた。
でも辞めた時、心底ホッとした。