たかだか数百円の出費でも、木下さんの為だと思うと心底ムカつく。

もう大っ嫌い!!


翌日。

やっぱり木下さんは扉の前でニコニコしていた。あの笑顔が癪に触る。

挨拶もそこそこにマスターキーを渡した。


私「これ、差し上げます。昨日私が自腹で購入したものです。使えるかどうか今試してください。」


木下「勿体無いね。早く出社すれば済む話なのに。」


オマエが言うな!!!!


ちゃんと解錠できた。

お互いそのまま無言で入室した。


私が仕事を始めると木下さんは爪を切り始めた。

おいっ!ババア!!

家で切ってこいよ!!いちいちムカつくな!!


でもってそのまた翌日。

なんと、木下さんはいつもの通り扉の前でニコニコしていた。


なんで?昨日マスターキー渡したよね?

まさか無くしたの?

もう倒れそうだ。

嬉しそうにこっちを見てくるな!!

なんの嫌がらせなんだ。

金払え!!


ここで同僚が話しかけてきた。


同僚「なんとなくあなた達のやり取り見てきたけど、木下さん酷いよね。」


気づいてくれてたんだ。


私「絶対ワザとよね?」


同僚「うん、たぶんね。ここで打ち合わせしてるフリしながら様子を見よう。」


そう言って資料を取り出して、あれこれ質問してくれた。

私はバッグを持ったままそれに答えた。


5分が経ち


10分が経過した。


ここで課長が出勤してきた。


課長「ん?なんで部屋に入らないんだ?」


慌てて木下さんが言い訳した。


木下「鍵を持ってる人があそこで雑談してるんです。」


ここで同僚が叫んだ。


同僚「雑談ではないです仕事です。木下さんも鍵持ってますよ。」


課長「え?ならなんで入らないの?」


木下「いや、あの、今日忘れちゃって」


同僚「昨日貰ったばかりなのに危機管理がなってないですね。」


私「いつも誰よりも早く来てここで私を待ってらっしゃいます。私が電車を1つ早めてもおられます。なので、今後は解錠担当になっていただければと思うのですが。」


課長「そうだな。なら明日からあなたが解錠してよ。」


木下「でででも、私には荷が重いです。」


私「木下さんなら大丈夫です。私より遅かったことなんか一度もないですし。」


課長「そっか。頼もしいよ。明日からよろしく。」


木下「はい‥‥分かりました。」


そう言って鍵を鞄から取り出し解錠した。


鍵忘れたんじゃないんかーい💢


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