お盆の同窓会に海人は来なかった。
ママに言われたのかな?
だとしたらちょっと気持ち悪い。
ママの言うことちゃんと聞くんだ。
年に数回あった同窓会が、やがて数年に1回あるかないかの頻度になった。
私も毎回は参加しなかったけど、行くたびに海人の姿はなかった。
だんだん皆んな疎遠になっていった。
そんなこんなで私は結婚した。
友達の中でトップバッターだった。
お相手は取引先の2歳年上の人。
とても温厚な人で、この人となら穏やかに暮らせそうだと思ってプロポーズをお受けした。
共働きなので、家事はお互い気づいた方がやれば良いと言ってくれた。
でも、守ってくれたのはほんの数日だけ。
夫は私に丸投げするようになった。
気づいた方がと言いながら気づかないフリをした。
掃除も洗濯もしない。
気づかなかったとしれっと嘘をつく。
休日。珍しく料理を作ってやると言った。
チャーハンを作ってやるから材料を準備しろと言われ、私1人で買い出しに行った。
まずは野菜を細かく切るようにと指示された。
え?切るの?私が?
中華鍋を取り出し、油を入れて火にかけた。
ここで初めて夫が登場。
不器用な手つきで材料を炒め始めた。
お店のように鍋を振るうんだけどうまくいかない。
材料があちこちにこぼれ落ちたけど気にする様子はない。
さ、できたよ、お皿に盛ってと言い、1人食卓に着いた。
気をつけて歩かないと床に落ちた材料を踏んでしまう。
何度も何度も何度も、どうだ美味いかと聞いてきた。
美味しいと言うと俺は料理の天才だからなとご満悦。
洗い物は私の担当らしい。
美味しいチャーハンを作ったのは俺だから後は私にバトンタッチなんだそう。
一緒に暮らしだして、夫の嫌なところが少しずつ見えてきた。