記念すべき初日。

空人くんの部屋で勉強が始まる。

何故か隣のベッドでマンガを読んでる海人。兄として心配なのかな。


問題を解いてる時、空人くんがボソッとこう言った。


「問題の意味が分からない時があります。」


「あー、私もあるよ。」


「言葉の意味が分からないから問題を読んでも答えを出せないって言うか。」


「うん。分かるよ。私なんか漢字そのものが読めないから、まずはその漢字の読み方を調べるところから始めたよ。」


「え?そうなんですか?」


「うん。読み方が分かったら今度は意味を調べるのね。一問解くのにすんごい時間がかかってた。」


「でも読み方が分からないのにどうやって調べるんですか?」


「部首で調べるの。例えば『読む』が読めなかったら『ごんべん』から入って調べたよ。」


「気が遠くなりそうな作業ですね。」


「そうだね。でもそのうち慣れるから。」



しばらく問題を解いてもらう。

マンガ読んでる海人は耳だけこちらに傾けている。


「これの意味が分からないです。」


「あー私もそれ分からなかった。辞書の125ページ辺りに載ってないかな?」


「え?どのページかまで覚えてるんですか?」


「うん。私馬鹿だからすぐ忘れちゃって同じ問題で何度もつまずいてたの。何度も何度も辞書引いてるうちに載ってる場所覚えちゃった。」


「そのくらい勉強したんですね。」


「うん。どうしても今の大学に入りたかったからね。」



ここでお母さんがお茶を持ってきてくださった。しばし休憩。


持参したポケモンサークルがある大学一覧表を空人くんに見せた。


「これ、調べてくださったんですか?」


「うん。思った以上にたくさんあって驚いたよ。ポケモンってすごいね。」


今日一番の目の輝きを見せてくれた。