minima-ausのブログ

minima-ausのブログ

キャンディ・キャンディ2次小説にハマっています。

SOLRELATOS作、キャンディ・キャンディ海外2次小説「El Duque de Grandchester(グランチェスター公爵)」を読み終えました。

 

"Un hombre no es noble por el título que hereda, sino por el perdón que es capaz de pedir."

 "A man is not noble because of the title he inherits, but because of the forgiveness he is capable of asking."

男が高貴なのは、継いだ称号のせいじゃなくて、自分が頼める許しの力によるのだよ。(Google日本語訳)

 

Fanfics. "El Duque de Grandchester". - Sinopsis. El Sacrificio de un Hijo. - Wattpad

 

現在進行中で、25章まで上がっているテリィさん側のお話です。

グランチェスター公爵を主人公に据えたお話とは、珍しいですね。彼とエレノアの出会いなども掛かれていて、設定が面白い内容です。漫画ではあっさり通過というか、描かれていない部分を、ここでは2次小説的な想像で書いていて、ああ、こんな事が裏の方ではあったのね?または、あったかもしれないのね?と納得しちゃいました。戦争に翻弄される主人公たち…これでもか、というくらい、人々に試練を与える各章。まさしくキャンディ・キャンディのお話の展開です。

ここに出てくるスザナは、悪の権現の様に結構したたかです。母親の方もすさまじいです。

このお話の各章に、しばしば漫画の様な挿絵が入って来て、状況が分かり易いです。ジブリに似ている絵もあったりして…クッキーの絵。オリバー・クラークという公爵の腹心の絵もありますが、ある俳優に似ています。皆さんご自身でサイトを見て、実際に誰に似ているのか当ててみて下さいな。

 

相変わらず、「彼女」と「彼」が混同する訳なので、注意が必要です。話が、「あれ?」という風に、混乱します。

誰が言っているセリフなのか、分かりにくい箇所がありますが、全体に把握して想像するしかありません。

誤字・脱字、意味不明の文章がありましても、見逃して下さい。

「です・ます調」「だ・である調」が混在しています。こちらも見逃して下さい。

話や文章に辻妻の合わない所がありましても、見逃して下さい。日本語訳の文が理解できない時があり、スペイン語が分からないので、確認できず、英語と照らし合わせても、どちらかが否定形だったりで分かりにくく、私の想像で書いています。

 

登場人物たちの名前を、漫画の原作に近い様に直してあります。例・テレンス ーー>テリュースなど。

第1章までを載せましたが、それ以降は、ご本人様のサイトからお楽しみ下さい。これは、読んで損はありません。

早く続きが出ると嬉しいのですが…

 

 

プロローグ  「Sinopsis. El Sacrificio de un Hijo.(息子の犠牲)」

 1914年、若きテリュース「テリィ」グランチェスターは、ロンドンのセント・ポール学院を中退し、キャンディス・ホワイト・アードレーの名誉を守るために、イライザ・ラガンが仕掛けた罠の罪を被ります。彼は舞台を制覇する夢と、それを取り戻すという静かな約束を胸に大西洋を渡ってアメリカへ向かいます。

 匿名のまま、リチャード・グランチェスターは彼を見守り、貴族としての義務と息子の勇気に隠れた誇りとの間で引き裂かれている。

 リチャードとテリィが知らないのは、キャンディもセント・ポール学院を去り、アードレー姓を捨ててアメリカの故郷に戻った事です。

 苦難と匿名の1年の中で、二人は成功を収めます。テリィはストラトフォード社の新たなスターとなり、キャンディは看護の道に自分の天職を見出します。運命はシカゴの駅で彼らに触れ、テリィはキャンディをちらりと見て彼女が同じアメリカで同じ空気を吸っている事を確かめる。しかし数か月後、彼の初主演作『ロミオとジュリエット』の初演で悲劇が待ち受けている。

 スザナ・マーロウが、テリィの命を救うために事故に遭った事で、彼は感謝と痛みの借金に縛られ、キャンディに「永遠に」と別れを告げざるを得なくなります。

 テリィがロンドンはニューヨークで荒廃に沈む中、リチャード・グランチェスターの世界は崩れ去る。『The Great War』後継者の喪失:テリィの弟は、わずか16歳で最前線で命を落としました。

 マーゴット公爵夫人は、疫病に倒れ、リチャートは幼い二人の子供と一体になり、血統はかろうじて継がっている。戦争と喪にくれ老いたリチャードは、自分の冷たさが唯一の残された貴重なものをほとんど破壊しかけている事に気が付きます。血筋が弱り、心が疲れ果てた公爵は海を渡る事を決意します。彼は最早自分の意志を押し付けようとせず、手放した息子を取り戻そうとしている。

 リチャードは、テリィを生き返らせる事ができる唯一の女性、キャンディを探すためにニューヨークへ向かいます。公爵は、かつて彼が擁護した慣習にさえ逆らう覚悟がある ー グランチェスター兄弟が「残酷な運命」を正そうとするために、忘却の中で死ぬ事になるためならば。

 「人が高貴であるのは、受け継ぐ称号ではなく、許しを求める事が出来るからである。」

この物語はこうして始まります。

 

第一章    「"El Eco de un Nombre".(名前のこだま)」

 1916年、インディアナ州

春の太陽が、ポニーの家を黄金色の光で包み、少なくとも一日だけは、ヨーロッパにまだ響き渡る戦争の風を消し去ろうとしているかの様だった。空気は焼き立てのケーキの香りと、庭を駆け抜ける子供達の澄んだ笑い声で満たされていた。キャンディにとって、18歳になる事は単に大人になる事ではありませんでした。それは悲しみに打ち勝った人生の勝利でした。

 「キャンディ。すぐに蝋燭を早く消さないと、子供達にメレンゲを食べられてしまいますよ。」ポニー先生は母親の様な笑みを浮かべながら、木製のトレイを持って叫んだ。

 隣でレイン先生が頷き、誇りの涙を隠そうとした。キャンディは愛に囲まれていた。アルバートは穏やかで、保護的な存在感を持ち、田舎の環境にも関わらず、完璧なスーツを着ているアーチーと話していた。いつも優しいアニーは皿を配るのを手伝って、キャンディと意味あり気な視線を交わしていた。

 完璧な午後でした。アーチーと昔のいたずらを笑い合い、アルバートとしっかりした抱擁を感じる事で、キャンディは失われたと思っていた安らぎを得た。しかし、太陽が沈み始めると、キャンディは自分の聖なる場所の呼び声を感じた。

 「ちょっと丘に行ってくるわ。」と彼女はアニーに囁いた。彼女は丘に登りながら、足元の新鮮な草を感じた。頂上に辿り着くと、風が彼女の金髪の巻き毛を揺らした。彼女はそこに立ち、考え込んで、空が果てしなく見える地平線を見つめていた。

 「アンソニー。」彼女は風に向かって囁き、心の中に決して枯れないバラの輝きを見た。しかし、ステアの事を思い浮かべて喉に塊が出来た。親愛なるステア、私達はとてもあなたを必要としています。あそこは、あなたの夢見た発明のように美しいものになる事を願っています。

 その時、落ち葉の上を歩く足音が彼女の思考を遮った。アニーだった。友人はいつもの様に軽やかに登る事はなかった。彼女は新聞を手に持ち、青ざめた顔をしていた。

 「キャンディ…今日届いた所よ。これを見て欲しいの。」とアニーは震える声で言った。キャンディがその役を引き受けた。文化欄には太文字の見出しが胸に当たった。「天の帰還:テリュース・G・グランチェスターがハムレットと共に全国ツアーで主演。」タイトルの下には、その光景を捉えた白黒写真が掲載されていました。テリィは立っている様に見え、彼を特徴づける貴族的で反抗的な雰囲気を漂わせていた。彼は強く、より成熟して見えた。その隣には車いすに座っているスザナ・マーロウがいた。彼女は勝利と優しさに満ちた微笑を浮かべて、テリィの手は若い女性の肩に置かれていた。

 キャンディは胸に鋭い痛みを感じた。安堵と静かな苦痛が入り混じった感情だった。大丈夫だった。彼は夢を叶えていた。彼は再び開いた空へと向き直った。「大丈夫だよ、テリィ。君は前に進むんだ。」と彼女は呟き、目を潤ませた。

 彼女は目をぎゅっと閉じ、いつもの強いキャンディに戻る前に最後の一瞬だけ弱さを見せた。丘の静寂の中で、彼女は誕生日の願い事を宇宙に投げ捨てた。それは星たちだけが聞く秘密だった。「親愛なる、そしてずっと愛していたテリィ。どうか幸せでいて下さい。二人とも、本当に幸せにね。」

 キャンディが知らなかったのは、何千マイルも離れた場所で、鋼の様な目を持つ男が一つのレンズで革のブリーフケースを閉じていた事だった。

 ロンドン。

リチャード・グランチェスターは、ロンドンの邸宅の廊下を歩いていた。その空間は今や家というよりは霊廟の様に感じられた。沈黙は重く、靴のこだまだけがそれを破った。前線で、テリィの弟である息子を失い、マーゴットが最近去った事で、彼は消えゆく血筋の唯一の守護者となった。彼の末っ子達は、セント・ポール学院に通っていました。

 彼は自分のオフィスの大きな窓の前に立ち止まり、ロンドンの霧を見つめていたが、心はそこになかった。彼はアメリカへの旅の準備を進めていた。個人的な目的で、二度と足を踏み入れないと誓った土地だったが、今や唯一の場所になった。

 家族の蝋封がされた封筒を閉じた時、稲妻のような衝撃で、記憶が彼を襲った。

回想:ニューヨーク、20年以上前のこと。

 若きリチャードは、今日彼を縛る重い責任から解放され、空に向かって成長していくニューヨークの街を歩いていた。空気は進歩の香りと焼き立てのコーヒーの香りが漂っていた。喧騒から逃れた彼は、濃い木製のモールディングとガス灯が部屋に親密な輝きを与える優雅な店に入った。

 彼は人目に付かないテーブルに座ったが、すぐに彼に仕えに来た若い女性に注意を引いた。「何か御用でしょうか、旦那様?」彼女は尋ねた。リチャードが顔を上げると、世界が止まったかのように感じられた。彼女は魅力的な女性だった。金髪は完璧な波を描き、サファイアブルーの目は現実離れしている様に見え、恥ずかしさと自信が交じった表情で彼を見ていた。彼を最も魅了したのは、顔の唇のすぐ近くにあった小さなほくろで、それが彼女の挑発的で在りながら、魅力的な雰囲気を与えていた。

 エレノア・ベイカーだった。そのカフェで、女優になる事を夢見るウェイトレスの視線の下、イギリスの貴族は一瞬、自分が誰であるかを忘れてしまった。彼女は同じ強い視線で彼を見つめ、その火花は二人ともその後の数か月で消えなかった。

フラッシュバック:終了

 リチャードは瞬きをし、ロンドンの自分のオフィスの冷たさに戻った。彼は鼻の付け根に手を当てて、長年の疲労を感じた。テリィはエレノアと同じ顔つきで、彼自身が消そうとする不屈の炎をしていた。

 「今度こそ、影に隠す訳にはいかない、テリュース。」と彼は自分の囁いた。そして、プライドに、残された最後のものを奪わせたりしない。

 彼は個人秘書に電話をした。「荷物をまとめて、次の客船で私のキャビンを確保しろ。」私達はニューヨークに向かいました。リチャード・グランチェスターは最早ニューヨークのコーヒーに恋する若者ではなく、贖罪を求める壊れた男だった。運命はほとんどすべてを奪ったが、息子の人生の舞台で使える切り札はまだ残っていた…

 三日後…RMSルシタニア号は北大西洋の氷の水を容赦なく優雅に切り裂きました。殆どのファーストクラスの乗客にとって、旅はガラ・ディナー、室内楽、戦争についての雑談の連続でした。しかし、リチャード・グランチェスターにとっては、その船は剛鉄と、貴重な木材の檻に過ぎず、彼に最悪の敵である自分の良心と向き合わせた。

 リチャードはほとんどの時間を自分のキャビンにあるプライベート・ベッキで過ごした。重いウールのコートに包まれ、塩気のある風が彼の髪を戯かせていた。灰色の空は海と一体化して果てしない地平線を描き、かつて守ると誓ったすべてからどれほど遠くに離れているかを思い出させた。

 手に持っていたのは、他人に滅多に見せられない小さな使い振りされた肖像画でした。マーゴット公爵夫人のイメージではなく、エレノア・ベイカー自身がニューヨークで若い頃に彼女に与えた鉛筆でスケッチした。

 「彼女は今、私の事をどう思うだろうか?」とリチャードは小声で尋ねた。プライドに息子の幸せをぶち壊された男。

セントポール学院での、テリィとの最後の口論の記憶は、彼を波の様に襲った。彼は息子のサファイアブルーの目に軽蔑の表情を覚えていた。その表情は、彼らが別れを告げた時のエレノアの表情を正確に反映していた。テリィは母親の目だけでなく、彼女の誠実さとグランチェスター姓の操り人形になる事を拒否していた態度も受けついていた。

 突然、若い男がトレイを持って入って来た。「コニャックをどうぞ。閣下。船長が挨拶を送り、今夜のメインテーブルに同行すかどうか尋ねています。」

 リチャードは冷たさで彼を見たので、若者は一歩後退した。しかし、少年の顔に若さを見て、リチャードはジェスチャーを和らげた。あの若者は息子のイーサンより年上ではないはずだ。

 リチャードは疲れた声で「船長に招待に感謝すると伝えて下さい。しかし、気分が悪いのです。」と答えた。「私は自分の考えと一緒にいる方が好きです。」

 若者の退室した時、リチャードはコニャックを脇に置いて、アメリカの地図を取り出しました。彼はテリィがストラトフォード・カンパニーでニューヨークに居る事を知っていたが、報告書のどこにも、息子の魂を取り戻す鍵が劇場にないことを示唆していた。

 「そこに着くまで5日だ。」とリチャードは拳を握り締めて呟いた。過ちを償い始めるのに5日。

公爵は船の揺れにも拘らず、しっかりと立ち上がった。彼は最早傷ついた鷹の様に感じず、権力ではなく、旅の終わりに父親だけが感じる事が出来る許しの切実な必要性によって、自分のものを回復しようとする捕食者の様に感じた。

 後で…

一等船室は豪華の誇示だったが、リチャードにとってマホガニーでコーティングされた壁は狭く見えた。机に座り、船が揺れて、毎秒目的地に近づく事を思い出させながら、彼は目を閉じた。その沈黙の中で、彼の心はセントポール学院の冷たい廊下に戻りました。

 リチャードは痛みを伴う鋭さでその日を思い出した。少年がスコットランドでエレノアに会った後、彼はテリュースと対峙するために学校に行っていた。父と息子の緊張は最高潮に達していた。

 フラッシュバック:ロンドン、セントポール学院。1914

 石の廊下を歩いていると、リチャードは若い女性が走っているのを見た。というか、その場所の硬直性とは調和しないエネルギーで浮かんでいる様に見えた。彼が彼女とすれ違った時、若い女性は謝罪するために少し立ち止まった。

 リチャードは静的だった。彼女だった…キャンディ。

彼を最も驚かせたのは、彼女の素朴な美しさではなく、彼女の目立った瞳で、それらは鮮やかなエメラルドグリーンで、とてもキラキラしていて活気に満ちた外観だったので、リチャードは一瞬まぶしかった。彼女の表情には自然な勇気があり、皮肉な事にエレノアの反乱を思い出させる堂々とした存在感への服従が完全に欠けていた。その短い出会いで、リチャードは息子との冷笑的で孤独なテリィが初めて油断した理由を言葉なしで理解しました。

 その後すぐに、テリィの部屋に入ると、リチャードは容赦ありませんでした。「あなたがスコットランドで、その女性を見た事は知っています。」と彼はエレノアに言及して氷の様な声で言いました。

 彼はテリィが拒絶と混乱が混じった顔に、傷を開けて不敵に立ち上がった事を思い出した。テリィは母親について知る権利を擁護し、リチャードは感傷の痕跡を踏みにじろうとした。

 「あの女の子、緑色の目をした子…」リチャードはその日学校を出る時に考えていた。彼に私と向き合う力を与えらえるのは彼女です。

 フラッシュバック終わり。

キャビンに戻ったリチャードは深いため息をついた。彼は今、当時キャンディをグランチェスターの血統に対する脅威であり、将来の公爵の気晴らしとみなしていた事に気づきました。私がどれほど間違っていたか。

 「あのキラキラした表情」とリチャードは目を開けて呟いた。テリュースを影の世界で生かしていたのはそれだけだった。

リチャードは立ち上がって鏡を見た。彼は最早その花火を破壊したい人ではなかった。彼は再びそれを見つける事を祈った人だった。彼はキャンディを見付けたら、息子の心に戻る道を見つける事を知っていた。

 ポニーの家での日々は、キャンディに子供時代のシンプルさを取り戻すルーティンで過ごしましたが、今では世界を見た女性の成熟度があります。戦争の余波で孤児の数が増加し、彼らの希望に満ちた顔を見て、キャンディは、おそらく彼女の本当の運命は、彼女の様に父親を持たない子供達の世話をしながら、そこでサイクルを閉じる事だと確信しました。

 暖かい太陽の下で、キャンディは裏庭で洗ったばかりの寝具を伸ばしていました。丘からの風が白いシーツを揺らし、木々の間で幽霊のように踊りました。生地の湿気と石鹸の香りを感じながら、彼女の心は形成期に戻った。彼女は郷愁を混ぜて回想し、セント・フアナ病院での疲れた日々を尊重した。そこで、メリー・ジェーン校長の厳しい指示の下、彼女は看護が単なる職業ではなく、完全な幸福である事を学びました。彼女はベッド作りや、薬を投与したりする際に一つのミスも許さない彼女の鋭い目。主任看護婦の𠮟咤を思い出した。「看護婦は岩の様にしっかりしていて、そよ風のように柔らかいものが良いのよ。メリー・ジェーン校長は良く言っていた。」とキャンディは悲し気に小さく呟いた。

 当時病院は彼女の戦場だった。今やポニーの家は彼女の聖域だった。彼女は最後のシーツを掛けると、丘を下る道を見下ろした。自分の人生はこれからもずっとこうなのかと考えた。他人の世話をし、癒すと言う終わりのないサイクルの中で、彼女自身の傷、特にテリィの名前の刻まれた傷は、静かに脈打ち続けるのだ。

 ポーチから聞こえてくる子供達の声に、彼女は物思いから引き戻された。キャンディはエプロンで手を拭い、子供達の方へ駆け寄った。一瞬、過去の重みは消え去り、今の抱擁の切迫感が彼女を包み込んだ。

 しばらくして‥‥

ポニーの家の居心地の良い応接間の中では、コーヒーと古木の香りが、孤独な魂を育む事に人生を捧げてきた二人の女性を包み込んでいた。風雨にさらされた窓枠から、ポニー先生とレイン先生はキャンディを見守っていた。少女は子供達の間を駆け回り、金色の巻き毛がそよ風になびき、その笑い声は谷全体に響き渡る様だった。

 「見て御覧なさい、レイン先生。」とポニー先生はかすかに悲しみを帯びた声で囁いた。「彼女は情熱的に演奏するから、世界で一番幸せな女性だと思うでしょう。でも、彼女の目は…彼女が赤ん坊のころから知っている人には嘘をつけないわ。」

 レイン先生は、ロザリオを握り締めながら、ため息をついた。普段は穏やかな彼女の顔には、深い母性的な心配が浮かんでいた。「ポニー先生、それはあなたにとってあまりにも重すぎる負担です。昼間はあなたがこの家の光ですが、夜になると…」レイン先生は言葉を止め、まるで壁が痛みを伴うかのように声を潜めた。「あなたの小さな部屋の薄い壁越しに、あなたの泣き声が聞こえてきます。枕ですすり泣きを押さえようとするけれど、夜の静寂は裏切りに満ちています。あなたは彼女の為に、あのグランチェスターの息子との為に泣いているのです。あなたの悲しみはあまりにも深く、毎朝どうやって起き上がる力があるのか、時々不思議に思います。」

 ポニー先生はゆっくり頷き、視線はキャンディがかつて物思いに耽るために隠家としていた丘の向こうの地平線へと彷徨った。「伝説で何て言われているか知っているでしょう、レイン先生。」とポニー先生は神秘的な口調で言った。「運命の赤い糸の話よ。二人の間には、小指に結ばれた目に見えない糸でつながっているって。その糸は伸びたり、絡まったり、切れそうになるほどピンと張られたりしても、決して切れないのよ。」

 「キャンディを巡る私達の繋がりは、まだあの若い男性と繋がっていると思いますか?」とレイン先生が尋ねた。「ええ、そうでしょうね。」とポニー先生は、キャンディが子供の一人を抱き締めるのを見ながら応えた。「問題は、運命がその糸をあまりにも強く引っ張ると、それに縛られた人の皮膚が傷がついてしまうことがあるという事です。キャンディは痛みを避ける為に逃れようとしていますが、糸は彼女の意志より強いのです。その糸が二人を再び結びつけるのか、それとも彼女がその傷跡と共に、永遠に生きて行かなければならないのかは、神のみぞ知るところです。」

 外で、会話は気付かれず、ただ不在の冷たさを感じながら、キャンディは空を見上げた。その空は、まさにその時、その絆を完全に断ち切る事を、決して許さないと決意した公爵の船をも覆っていた。

 大海原にて…

机の上の懐中時計は午後8時を示してた。リチャード・グランチェスターは分厚い本に集中しようとしたが、疲れた目には文字がぼやけて見えた。船体に打ち寄せる大西洋の絶え間ないリズミカルな波音だけが彼の唯一の話し相手だったが、やがてドアを静かにノックする音が静寂を破った。

 公爵が返事をする前に、ドアが少し開いた。昨晩彼に給仕したのと同じ若いウェイターだった。「閣下…、船長が再び晩餐会にご招待しております。閣下のご臨席は大変光栄な事と存じております。」と、少年は空のトレイを胸に抱えながら、ためらいがちに言った。

 リチャードは本をバタンと閉じた。その音が狭い空間に響き渡った。「船長にはもう、誰とも一緒にいたくないって言ったんだ!」リチャードはここ数年間溜め込んでいたいら立ちを爆発させ、飛び上がって叫んだ。「どうして、そんなに僕をこの船室から出て行けって言うんだね?」

 少年は明らかに恥ずかしそうに肩をすくめたが、後ずさりする代わりに一歩前に踏み出した。「ただ…閣下、この航海の間、一度も外に出ていらっしゃらないのです。それに私が持ってきた料理もほとんどお口になさっていらっしゃいません。」と若い男は心からの心配そうな表情で答えた。その表情に、貴族の怒りはすっかり和らいだ。

 リチャードは少年の率直さに驚き、立ち止まった。憤りは消え、代わりに胸に重苦しいものがのしかかった。彼は少年に背を向け、暗い海が見える小さな丸窓へと歩み寄った。

 「具合が悪いんだ、坊や。」リチャードはガラス越しに、かすれた声で、かろうじて聞き取れるほどの囁き声で告白した。「私の魂は長い間、大きな苦しみを抱えて来たんだ。」

 公爵は木製の枠にもたれかかり、言葉がどめど無く溢れ出るままに口にした。それは、彼が決して口にしないような言葉だった。「長男はずいぶん前にいなくなりました。彼は私のせいでロンドンを離れ、アメリカに逃げたんです。私がここにいるのも彼の為です。彼を見つけ出さなければなりません。それから…次男も戦争で亡くなりました。前線で命を落としたのです。その後まもなく、妻も病に倒れました。今は10代の息子二人っきりで…もう生きて行けるかどうか分かりません。息子を見つけ出して、帰って来て欲しいと頼まなければならないんです。」

 彼が最後の言葉を口にした瞬間、長年の後悔が染み込んだ、一筋の涙が、威厳あるグランチェスター公爵の頬を伝わった。若い男はそれに気が付いたが、年齢に合わない成熟さで、敬意を込めて視線を落とし、リチャードに悲しみに浸る時間を与えた。

 リチャードは手の甲で顏を拭い、気持ちを落ち着かせていると、少年の方を向いた。彼は少年をじっと観察した。痩せた少年で、重労働で掌はタコだらけだったが、瞳には紛れもない輝きが宿っていた。

 「君の名前は?」リチャードは、今度は優しく父親のような口調で尋ねた。「外洋で働くには、ずいぶん若いね。」少年は顔を上げ、誇らし気な笑みを浮かべた。「私の名前はクッキーです。いつか自分の船の船長になるのが夢です。」

 リチャード・グランチェスターは彼をじっと見つめた。その若者の中に、彼は単なる海運会社の召使ではなく、逆境にも屈せず自らの運命を切り開こうとする、不屈の若者の精神を見たのだ。

 公爵はクッキーに近づき、彼の肩のしっかりとした、しかし優しい手を置いた。「クッキー、君を尊敬しているよ。」とリチャードは心から言った。「君は闘士だ…夢を叶える為にアメリカへ行った私の息子と同じ様にね。君の年齢の頃に、私も君の様な決意を持っていたら良かったのに。」何日ぶりかに、公爵の灰色の瞳にかすかな希望の光が宿った。

 ポニーの家にて…

ポニーの家の素朴な台所には、焼き立てのパンとシナモンオートミールの香りが満ちていた。日々はいつもの様に過ぎ、キャンディは腰にエプロンを巻き、額に一房の髪を垂らしながら、せっせと朝食の準備をしていた。彼女は子供達の朝の騒がしい声に耳を傾けていた。そのにぎやかな音色は、いつも彼女の心を温めてくれた。

 彼女は大きな鍋に入ったオートミールをかき混ぜていると、玄関のドアを3回鋭くノックする音がして、静かな朝の静けさが破られた。キャンディはエプロンで素早く手を拭き、入口へと歩み寄った。こんなに早く郵便物が届くなんて?隣の農場から来た人かしら?木製のドアを開けると、彼女の大きなエメラルド色の瞳が大きく見開き、そばかすだらけの顔に輝くような笑顔が浮かんだ。「マーティン先生!」彼女は心からの喜びを込めて叫び、一歩前に踏み出した。

 彼女の前に立っていたのは、ハッピークリニックの愛する医師だった。いつもの様に少ししわくちゃのスーツを着て、片手には使い古された革のブリーフケースを持ち、誰をも落ち着かせるような優しい表情をしていた。

「やあ、可愛いキャンディ!」と医師は帽子を脱ぎ、深呼吸をしながら答えた。「邪魔していないと良いんだけれど。朝食の香りは死者をも蘇らせるほどだ。」「もちろん、先生。邪魔なんかじゃありませんよ。どうぞ中に入って下さい。お会いできて本当に嬉しいです。」とキャンディは言い、彼を温かい待合室に招き入れる為に脇に寄った。「でも、診察所からこんなに遠く離れた所に、どうしていらっしゃったんですか?」

 マーティン博士は周囲を感心した様に見まわしながら入って来て、それから愛情とある種の真剣さが入り混じった表情で彼女の方を向いた。「実は、キャンディ、私は自分の意志で来たわけじゃないんだ。」と医者はいつもの様に頭を掻きながら告白した。「アルバートに来る様に言われたんだよ。」

 キャンディは少し眉をひそめた。「アルバート?何かあったんですか、先生?彼は大丈夫ですか?誰か具合が悪くなった人はいませんか?」「いえいえ、落ち着いて下さい、お嬢さん。深呼吸して下さい。」とマーティン先生は笑顔で両手を上げ、すぐに彼女を安心させた。「皆さん、健康状態は完璧です。ただ、アルバートが、あなたがここにいて落ち着いているか確認するために、私に先に行って欲しいと頼んだのです。彼はもうすぐここに来ます。あなたにとって大切な事を話たいと言っています。」

 キャンディの心臓はどきっと跳ね上がった。ちょうどその時、遠くからエンジンの音が聞こえ始め、ポニーの丘へと続く未舗装の道を近づいてきた。キャンディは窓の外を見つめ、不安と期待が入り混じった気持ちで胸が一杯になった。親友がどんな新しい風を運んでくるのだろうか、と彼女は思った。

 エンジンの轟音がポニーの家の前で止まった。エプロン姿のキャンディは、ポーチに駆け出し、続いてマーティン先生が出てきた。ジョルジュはいつもの冷静で忠実な態度で優雅な車から降り、次にアルバートが現れた。彼は完璧なスーツを着ていたが、キャンディの心をいつも明るくしてくれる、あの温かく気さくな笑顔を浮かべていた。

 「アルバート!ジョルジュ!」キャンディは叫びながら金髪の友人の腕の中に飛び込んだ。アルバートは笑いながら彼女を迎え、温かい抱擁で彼女を少し持ち上げた。ジョルジュは小さくも誠実な笑顔で頷き、二人に挨拶をした。騒ぎを聞きつけたポニー先生とレイン先生は急いで庭に出て、温かい歓迎に加わった。

 家の中に入ると、アルバートは壇上に立った。彼はそこにいる一人一人を見つめながら、青い瞳を熱意で輝かせた。「今日は、ジョルジュの協力を得て計画をしてきたあるプロジェクトについてお話しするために参りました。このプロジェクトには、親愛なるマーティン先生のご承認が必要だったのです。」とアルバートは切り出し、微笑みながら頷くマーティン先生に目を向けた。「この地域にはますます多くの子供達が暮らしており、近隣の農場の住民は緊急時に頼れる場所がないことが多いことを承知しています。そこで、アードレー家は小さ診療所の建設に資金を提供する事になりました。」

 キャンディは驚いて両手で口を覆った。「ポニーの家からほんの数歩の所に位置するんだ!」とアルバートは興奮気味に続けた。「設備が整った田舎の診療所になる。マーティン医師が主治医として、シカゴと勤務時間を分けながら担当する。もちろん…主任看護師であり、この診療所の中心となるのは、キャンディ、君以外にいないよ。」

 その知らせは、まるで花火の様に部屋中に響き渡った。キャンディは喜びの叫び声をあげ、マーティン先生とアルバートに抱き着いた。まさに完璧だ!大好きな仕事を続け、母親役の人達の子育てを手伝い、そして自ら選んだ家族と親密な関係を築けるのだから。

 しかし、部屋の片隅からは、同じ様な反応は得られなかった。レイン先生とポニー先生は、目元まで届かない笑顔を無理やりつきりながら、静かに拍手をした。二人は心配と悲しみに満ちた視線を交わした。

 彼等にとって、診療所の構想は素晴らしいものであり、地域社会にとって大きな恵みだった。彼らの悲しみは、アルバートの慈善事業そのものとは関係なく、それがキャンディにとって何を意味するのかという点にあった。その職を引き受ける事で、キャンディは丘に根を降ろす口実を得る事になる。彼女はポニーの家という安全な場所で仕事に没頭し、傷ついた心を守る壁を築いていくことにあるだろう。

 「彼女はここにずっとここにいるのよ…」レイン先生は、キャンディが喜びで跳ねあがるのを見ながら、ポニー先生にだけ聞こえる様にささやいた。「ええ、レイン先生。」とポニー先生は感情のこもった声で答えた。「この診療所は素晴らしい贈り物ですが、彼女の本当の夢である外の世界へ出る事を阻む足かせになってしまうのではないかと心配しています。彼女は人生から逃げているのです。そして、アルバートは彼女を守ろうとするあまり、美しいガラスの檻を作ってしまったのです。」

 キャンディは新たな使命を祝っていたが、彼女の事を最もよく知る二人の女性が静かに心配している事に全く気付いていなかった。ましてや、まさにその時、大西洋の波が公爵を猛スピードで近づけ、彼女の世界を根底から覆そうとしている事など、想像もしていなかった。

 

第二章    「"Las Cadenas del Deber".(義務の鎖)」

第三章    「"El Precio de la Libertad".(自由の代償)」

第四章    「" El Peso del Perdón".(許しの重み)」

第五章    「Espectador de su Propia Tragedia.(自らの悲劇の傍観者)」

第六章    「El Único Faro en la Oscuridad.(闇の中の唯一の灯台)」

第七章    「Una Invitación al Abismo.(新淵への招待)」

第八章    「El Espejismo de un Amor Roto.(壊れた愛の蜃気楼)」

第九章    「Rumbo a la Niebla del Pasado.(過去の霧へ向かっている)」

第十章    「El Peso de los Linajes.(血統の重み)」

第十一章   「El Despertar de las Sombras.(影の覚醒)」

第十二章   「La Memoria de un Verano Escocés.(スコットランドの夏の記憶)」

第十三章   「La Herida que no Cierra.(癒えない傷)」

第十四章   「La Decisión del Duque(公爵の決断)」

第十五章   「El Tesoro Recuperado.(回収された宝物)」

第十六章   「El Adiós Definitivo. 1-Parte.(最後の別れ パート1)」

第十六章   El Adiós Definitivo. 2-Parte.(最後の別れ パート2)」

第十七章   「El Latido que se Niega a Morir.(死なない心臓の鼓動)」

第十八章   「El Latido en la Niebla.(霧の中の鼓動)」

第十九章   「La Decisión Inquebrantable.(壊れない決断)」

第二十章   「El Latido que Regresa.(戻ってくる鼓動)」

第二十一章  「El Despertar.(覚醒)」

第二十二章  「Sombras del Pasado.(過去の影)」

第二十三章  「Sombras del Pasado y la Frágil Memoria.(過去の影と壊れやすい記憶)」

第二十四章  「El Eco.(エコー)」

 

 

さて、お次は、RoseW2018作、「Bendito tu Amor(あなたの愛は祝福されます)」に行きましょう。

 

33章で完結のテリィさん側のお話です。

 

Historia desarrollada en la actualidad, año 2017que narra el reencuentro entre Terry Grandchester y Candice White Andrew después de que por ironías del destino se separaron siete años atrás. El continúa su carrera como actor, pero la ausencia de Candy en su vida le da un golpe bajo llevándolo a perderlo todo, incluso a él mismo. Ella como siempre, luchadora, enérgica y de buen corazón toma todo lo que le queda en su alma para salir adelante y emprender nuevos caminos, a pesar de que se acostumbró a vivir con el corazón roto ....por amor a sus eternos compañeros de vida: Stear, Archie, Annie y Patty y su amor incondicional hacia Albert, su padre adoptivo, decide superarse y estudiar Relaciones Internacionales y ese camino la lleva a fijar su residencia en Nueva York, tan lejos y tan cerca de su gran amor. Llega el momento en que sus caminos vuelven a encontrarse y su amor se mueve a un nivel distinto: Adulto, intenso, erótico y repleto de amor. Deberán lidiar con sentimientos como la aceptación, el perdón, la verdad, la sanación siguiendo un camino difícil, emocionante y definitivo.

    2017年の現代を舞台にしたこの物語は、7年前に運命のいたずらで別れたテリー・グランチェスターとキャンディス・ホワイト・アンドリューの再会を描いています。彼は俳優としてのキャリアを続けていましたが、キャンディスの不在は彼にとって大きな痛手となり、すべてを失い、自分自身さえも失ってしまいます。彼女はいつものように闘志に満ち、エネルギッシュで心優しい女性で、傷ついた心を抱えて生きることに慣れきっていたにもかかわらず、残された力を振り絞り、新たな道を切り開いていきます。生涯の伴侶であるステア、アーチー、アニー、パティへの愛、そして養父アルバートへの無条件の愛のために、彼女は自己研鑽のため国際関係論を学ぶことを決意します。この道は、彼女を愛する者から遠く離れながらも、同時に近くにも感じられるニューヨークへと導きます。そして、二人の道が再び交わる時が訪れ、二人の愛は成熟し、激しく、エロティックで、愛に溢れた、新たなレベルへと昇華していきます。彼らは、困難で刺激的で決定的な道をたどることで、受け入れ、許し、真実、癒しといった感情に対処しなければなりません。(Google日本語訳)

 

こちら、注釈に「この物語には、露骨な性描写と強い言葉遣いが含まれています。苦手な方は閲覧をお控えください。」と書いてありますので、読んでみて、かなりどぎつかったりしたら、アメンバー限定にするかもしれません。