朝の光がカーテンの隙間から
部屋の中を照らし始めた頃
僕はユノさんの隣で目覚めた

穏やかな寝息をたてて
ぐっすりと眠るユノさんの
寝顔を見つめながら
僕はこれ以上ないくらいの
幸せに浸っていた

だけど…その時 
突然、ユノさんのスマホの着信音がなった

朝のこんな時間に…
僕は何故か胸騒ぎがした

ユノさんが飛び起きて
スマホを握りタップする

「もしもし…ああヨニ  
    朝から何だ」

電話の相手はヨニさんらしい
何故こんな朝早くに…と思った瞬間

「何だって⁉︎   テミンが!
    わかったすぐにそっちに向かうから!」

ユノさんは、慌てた声をあげ電話を切った

そして僕を振り返り

「チャンミン…
   テミンが怪我をしたらしい 
   だから、すまないが
   ヨニの家へ行って来る」

そう言うと 
ベッドから起き上がり、服に着替え始めた

「テミンが怪我を?
    酷いんですか?」

「よくわからない
    ヨニが、とにかく病院に来てくれと
    それしか言わない 
    だから、とにかく行ってみる」

ユノさんは、慌てた様子で
部屋を飛び出した

テミンが怪我をしたと…

どんな具合なのか知りたいけれど
一緒に行けるわけもなく
ただひたすら、テミンの無事を
祈ることしか出来ない…

どんな状況でテミンが怪我をしたのか
わからないけれど
これからの僕達にとっては
良くない事が起こり始めてしまったようで
不安感だけがつのる…

とにかく、重い身体を引きずるように
ベッドから起き出して
身支度を整えると仕事に向かった

昨日の余韻が残る身体の気怠さ…

普段なら僕に力を与えてくれるのに
今日は逆に、身体が思うように動かない

それにずっと、心がざわついている

「シム君どうしたの?
   体調でも悪い?
   顔色が良くないわよ」

師長に指摘されて
自分がどれだけ動揺しているか気付かされた

僕の仕事は少しのミスも許されない
小さな間違いが人の命に関わる事もある

気持ちを落ち着かせて
仕事に集中する事にだけ専念した   

そしてやっとお昼休みが来て 
慌てスマホを取り出した

そこには、ユノさんからの
数度の着信履歴が表示されていた

テミンの様子は気になる
だけど…
朝の嫌な胸騒ぎを思い出し
ユノさんの番号にタップするのに
ためらいを感じてスマホを握り締め
その場に立ち尽くしていた