僕が高校教師になって
3年の歳月が過ぎた

ユノさんと一緒に暮らす約束を交わしたけど
今はまだ、お互い別々の場所で
自分の仕事に一生懸命に頑張っている

ユノさんは一年前に
建築士として有名な賞を受賞した
その影響もあり、今は特に忙しい…



「今度、また大きな契約が取れて
    しばらく忙しくなるよ」

久しぶりにやっと逢えた
ユノさんの温もりを感じて微睡んでいる時に
そんな言葉を聞かされた

「でもね
   チャンミンといる時間が
   俺のエネルギー源だからな」

髪に触れたと思ったら 
キスを落とされてそのまま
また抱き締められた

「ユノさん…」

ユノさんの声や僕に触れる指の感触
すべてが僕に安らぎを与えてくれた

休みの日は出来るだけ
お互いの家を行き来していたけれど
今度の仕事の為か
最近は余り逢えない状態が続いていた

そんなある日

「チャンミン…
   この前約束していた休日何だけど
   また、打ち合わせが入ってしまって…」

電話の向こうのユノさんは
表情が思い浮かぶくらい
すまなそうな声で謝ってくれた

「わかってます
   仕事なら仕方ないですよ」

ユノさんが悪い訳じゃない…
だけど逢えない日々が続いて
気持ちは少々落ち込み気味…

だって、この前会えたは2カ月も前だったんだ
それにもうすぐクリスマスを迎える



出会って初めてのクリスマスは
2人で雪を見に旅行に出かけた

2度目のクリスマスは
僕の大好きなワインが美味しい
レストランでディナーを食べに行った

そして3度目の今年は…

もしかしたら
この調子だと逢えないかもしれない…

そんな不安感で
僕の気持ちは下降線をたどるばかりだ


でも
僕の気持ちを察してくれたのか
ユノさんがある日

「チャンミン
   今年のクリスマスは
   俺の家で過ごしたいんだけどいいか?」

そんな電話をくれた

「もちろん、行きたい!
    でも、仕事が忙しいんじゃないの?」

「忙しくはしてるけど
   クリスマスは特別な日だからね
   時間はちゃんと開けておくよ」

「ユノさん…ありがとう」

ユノさんの声に
僕の不安も何処かに吹き飛んだ
   
ユノさんの家で過ごすのならば
料理は作った方がいいよね

美味しいワインも用意したいし…
ケーキは何処に注文しようかな?

外で過ごすクリスマスもいいけど
2人きりで自宅で迎えるクリスマスに
僕は何だかワクワクしていた



電話をもらった次の日
ユノさんへのプレゼントを買う為と
ケーキの注文をしようと
仕事が終わって隣町にある
イルミネーションが光輝く
街中のショッピングモールに出かけた

木々に散らばる
キラキラ輝く電球の光が眩しくて
思わず見惚れて見上げていた

ふとその下に目をやると
高校生くらいのカップルが手を繋いで
僕と同じようにイルミネーションを
見上げていた

そんな2人を見て何故だか
ユノさんに逢いたくて仕方がなくなった

こんな綺麗な景色は
やっぱり2人で見たい…
2人の時間がもっと欲しい…

逢えない時間が余りに長くて
僕は少し我が儘になったみたいだ

こんな感情が自分にあったんだと
不思議な感覚を覚え
手を繋いで仲良く立ち去る2人の
後ろ姿を見送った

ユノさんへは
暖かそうな白いマフラーに決めて
ユノさんの大好きな苺が沢山乗った
生クリームのケーキを注文して
その日は帰宅した

クリスマスに会う約束をしてから
ユノさんは何故か
毎日のように電話をくれるようになった

「チャンミン   今日は何をしてた?」

「今日は隣町のショッピングモールに行って
    ユノさんへのプレゼントを
    買いに行きました」

「プレゼントか…今年は何かな?
    俺のチャンミンへのプレゼントは
    ふふ…楽しみにしてて…」

「何ですか?ユノさん
   そのまま意味ありげな笑いは
   気になります」

「まぁまぁ   当日のお楽しみだ」

ユノさんが何を用意してくれたのか 
気になるけど、とにかく早く逢いたい

「そういえば、今日ショッピングモールで
    綺麗なイルミネーションを見ました」

「そうなんだ
   クリスマスだもんな
   人も多かっただろ?」

僕は…本当は一緒に見たかった
そんな言葉を飲み込んだ
だってユノさんに今はそんな時間はない

「家族連れやカップルでいっぱいでした」

「そうか  俺もチャンミンに
    早く逢いたいな」

逢いたい…
その言葉を聞けただけで充分だった


    
クリスマスまで後一週間

その日は
今まで逢えなかった時間を埋めるように
ユノさんに甘えたい

僕は、1日1日
その日が来るのを指折り数えていた


クリスマスを2日後に控えたその日
ユノさんから電話をもらった

「チャンミン…ごめん…
   どうしてもクリスマスの日に
   引き渡さなければいけない物件が
   出来てしまって…

   俺も本当に楽しみにしていたのに
   本当にごめん…」

「えっ……」

ユノさんの声が遠くで聞こえる…

仕方ないとはわかってる
でも…
どうしてもその日じゃないと駄目なの?

そんな言葉が込み上げてくる…

逢いたくて仕方がないのに…

そう言ってしまいたい衝動に
駆られてる自分を 必死に抑えて

「わかった…」

やっとのことで、それだけ言うと
ユノさんの電話を切ってしまった



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こんばんは  にらいです 

相変わらず、手の治療で忙しくて
お休みを頂いてばかりで
ご迷惑をお掛けしてます

お礼を兼ねて
クリスマス仕様のお話しを書いてみました
「しあわせ色の花」の2人ですが
クリスマスイブなのに
ちょっと寂し出たしですみません

もちろん結末はハッピーエンドです

安心して最後まで読んで頂けると
嬉しいです❤️