「ただ、誤解しないで下さい
   チャンミンには
   ちゃんと断られました
   だから、この話は純粋に仕事としてです」

シオンさんは 
俺の顔を見つめて
少し哀しそうな表情を浮かべた

俺は、その言葉をどう受け入れればいいのか

シオンさんは、やはり学生時代から
ずっと…
チャンミンを好きだったんだ

そして、仕事とはいえ
そんな思いを抱いた人が
チャンミンの側をいる事に
俺は耐えられるのだろうか?

だけど、
チャンミンの以前からの夢ならば
叶えさせてやりたい…

「わかりました
   あなたがチャンミンを
   とても大切に思ってくれて
   ありがたいとは思っています

   いきなり、聞かされた話なので
   今はまだ、お返事出来ませんが
   俺は俺なりにいろいろ考えてみます」

俺の答えに満足したのか
シオンさんがホッとした表情を浮かべた

「いろいろ迷いましたが
    あなたに会いに来て良かった
    あなたなら
    きっとそう言ってくれると思ってました
    チャンミンの事   よろしくお願いします」

俺に頭を下げると
シオンさんは、帰って行った


俺はその日 
仕事も手に付かず終業時間を迎えると
同僚の誘いも振り切り自宅へと戻った

帰りついても、何も手がつかず
着替える事すら忘れてソファに腰掛けた
そして、ただひたすら
チャンミンの帰りを待った

しばらくすると
玄関のドアが開く音が聞こえ 
チャンミンが部屋の中へと入って来た

俺が何時もより
早い時間に帰っている事に
チャンミンは驚いた表情を見せた

「ユノさん何か合ったの? 
   何時もより帰りが早いから 驚きました」
   
 それは…俺が言いたい言葉だよ
チャンミン…何故君は
俺にちゃんと話を聞かせてくれない?  

何時ものように振る舞い
食事の支度を始めたチャンミンの背中に
心の中でそう呟く

俺の為に諦めてしまったのか
それとも
まだ迷っているのか…

君が何も話さないから
俺にはそれすらもわからない

俺は思わず、チャンミンの後ろに立ち
抱きしめていた…