「ユノさんはチャンミンの両親が
離婚したのを知っていますか?」
「それは、以前に聞きました」
「じゃあ、その理由をご存知ですか?」
チャンミンの両親の離婚と
今回の仕事の話と
何の関係があるというのか?
俺は、シオンさんの顔を見つめ
首を横に振った
「実は、チャンミンの父親は
医者だったんです
彼の父親の両親は
医者もいない過疎の村に住んでいました
だから、父親は自分の両親が
年老いた時に自分の育った村に
帰ろうとしました
だけど彼の母親が
それに対して大反対をした
2人の気持ちに折り合いがつかず
結局、離婚してしまいました
彼の父親は離婚後
両親が住む村に帰りました
そして
自分の両親が亡くなった後
そのまま、他の過疎の村に行ってしまい
今はどこにいるのかも
わからない状態です
だからチャンミンは
そういう地域の医療機関に
いずれは勤めたいと
学生の頃から言っていました」
シオンさんの話は
俺が知らないチャンミンの事情だった
それは仕方がない事だけど
彼から聞かされたくはなかった
チャンミン本人の口から聞きたかった…
「あなたは、彼からこの話を
聞かされていなかったんですか?」
そう尋ねられ、黙って頷いた
「そうですか…
チャンミンは、きっとあなたには
自分から話さないかもしれない
だから
僕はあなたに知っていて欲しかった
もしも彼が
今度の話をあなたに切り出したら
あなたには
反対しないで貰いたくて
僕からこの事を伝えようと思いました」
「でも…もしも
チャンミンが何も話さないかもしれない
俺の側から離れないと望んだら…」
「僕は一緒に
プロジェクトに参加してくれように
チャンミンを説得するつもりです」
そして俺は
シオンさんがこの後に告げた言葉に
俺は絶句して
顔から血の気が引くのを感じていた…
「あなたには正直に話します
僕はチャンミンの事が好きなんです」