翌日の朝
シジョンさんに教えられた
ユンホさんのマンションへと向かった

そこは、さすが 
今売れっ子の芸能人が住むだけあって
高級マンションが立ち並ぶ一角にあった

平凡な学生の僕が
普段では足を踏み入れる事のない
場所だと思った

渡された合鍵で
マンションの自動ドアを開けて
エレベーターに乗り
25階のボタンを押した

エレベーターに乗っている間に
緊張感が高まる…

一度顔合わせをしたとはいえ
ユンホさんみたいな
有名な人の私生活に踏み込むんだもの

彼は、どんな生活をしているのだろうと
興味が湧いてくる

ショールームに飾ってあるような
高級な家具に囲まれて
綺麗な部屋で過ごしているのかな?

でも、ジュリさんは
ユンホさんは
手がかかると言ってたし…

生活能力がないって事かな?

いろいろ考えているうちに
エレベーターが止まって扉が開いた

そのフロアを見渡すと
ドアが3つしかない…

一つの部屋がどれほど広いんだろうと
びっくりする

その一つのドアの前立って
一応チャイムを鳴らした

合鍵は持っているけれど
いきなり他人の部屋に入るのは
気が引けたから…

しばらく、待っていると
いきなりドアが開いて
中から
髪がボサボサで
スエットの上下を着た
ユンホさんが顔を出した

「お…おはようございます
    ユンホさん……」

昨日の、
芸能人のオーラをまとった姿とは
あまりに違う、今日のユンホさんの姿に
ドキドキしてしまった僕…

そんな僕を見て

「あんた…誰?」

ユンホさんは、そう言った

昨日会ったばかりだというのに
もう、僕の顔を忘れたのだろうか?

「あの…僕は…付き人の…」

僕がそう言うと

「ああ…シム チャンミン…」

ユンホさんは
やっと思い出してくれたようだ

ユンホさんに、招き入れられて
部屋に入って驚いた

ソファには、服が脱ぎ捨ててあるし
キッチンには
汚れた食器が置いてある

おまけに、ダイニングテーブルの上には
口の開いたペットボトルが
何本も置いてあった

ユンホさんって…
見かけによらずにだらしがない…

僕はこの人の芸能人としてのイメージと
余りにもかけ離れた部屋の様子に
しばらく呆然と部屋を見渡していた