昨日のチャンミンは
何時もと違って
何かを考え込んでいた

とても悩んでいる様に見えたけど
無理に聞き出すのはしたくない

話せる時が来たら
きっと自分から話してくれるはず

だからそれまで
待ちたいと思った



そんな事を考えていたから
その日の午後
いきなりシオンさんが
会社に訪ねてきたね時は驚いた

「いきなり訪ねて来てすみません」

応接室のソファに腰掛けていた
彼は俺の顔を見るなり
立ち上がり頭を下げた

「あなたにどうしても
    お話したい事があって訪ねて来ました」

一体何を話したいと思っているのか
不思議に思っていると

「チャンミンの事なんですが
    昨日   彼から何か聞かされていませんか?」

シオンさんにそう切り出された

やっぱり…

チャンミンにとって
大きな出来事があったんだ
それもすぐに俺に話せない何かが…

俺はシオンさんの顔を正面から見据え

「俺は何も聞かされていません

   とにかく、座って 
   話を聞かせて貰えませんか?」

立ったままのシオンさんに
ソファに座るように促した

そして、彼から聞かされた話は
俺にとって、とても衝撃的な内容だった

「あなたにとって
    彼は大切な存在なんでしょうが
    僕にとってもそれは同じなんです

    彼の学生時代からの夢を
    叶えられるように
    協力して貰えませんか?」

チャンミンが
過疎地域での医療活動に従事したいと
そんな希望を持っていたなんて
知らなかった

ましてや俺の為に
それを諦めようとしているなんて

そんな事情をこの人から
聞かされるなんて思いもしなかった

「すみません
    いきなりそんな話を聞かされて
    今は…返事をすることが出来事ません
    少し考えさせて下さい…」

俺の頭の中は真っ白になって
そう答えるのがやっとだった

「僕こそ突然押しかけて
    貴方にこんな事を言い出して
    本当にすみません

    でも、僕はチャンミンが
    そう決心した理由を知っているから
    どうしても、黙っていられなかった」

「決心した理由?」

看護師になる為に学んだ学生時代
この人はチャンミンの側にいた
俺の知らないチャンミンを知っている…

俺はそれが悔しいと思った