僕がユノさんと会えなくなって
数日が過ぎた 

ユノさんを愛しているのは
確かなのに…

テミンの事を考えたら
僕がユノさんの側にいる事が
一番の幸せだと
言い切れる自信はなかった…



いろんな悩やみを
仕事で紛らわせていると
ある日、シオンさんが
僕を訪ねてきた

「チャンミン…この前は
   ゆっくり話す事が出来なかったから
   少し時間をもらってもいいかな?」

僕はシオンさんと
病院の喫茶室で
向かい合って座った

この間は気がつかなかったけど…
久しぶりにあったシオンさんは
少し痩せたようながした

シオンさんは懐かしそうに

「本当に久しぶり
   こんな事言うと可笑しいけど
   昔よりとても綺麗になったな
  
   なかなか時間が取れなかったけど
   ずっと、会いたかったんだ」

「シオンさんは
    大きな病院を任されているから
    仕方がないですよ
    でも、僕も会いたかったです」

ユノさんと
シオンさんの事で揉めたけど
やっぱり、シオンさんに会うと
懐かしい気持ちが大きかった

でも…

シオンさんは
それだけの理由で
会いに来てくれた訳じゃなかった

 
コーヒーを飲みながら
いろんな話をしていると
時折、
思いつめた顔をして
シオンさんは僕を見ていた

そして

「俺はテジョンの事とは関係なく
   最初に会った時から
   ずっとお前の事が
   気になってたんだ」

そんな事を言い出し

「僕の事が…気になる?
   それはどういう意味ですか?」

僕は不思議そうに
首を傾げた

「君の事が好きなんだ」

突然、僕にそう告白したんだ

でも
シオンさんの気持ちは困る

「僕は…ユノさんが…

    この前一緒に暮らしていると
    言っていた人が
    好きなんです」

そばに居ないけど
何時だって僕の心は
ユノさんと一緒にいるから…


「あの人を愛しているの?」

シオンさんに聞かれて
僕はこくりと頷いた

彼は
少し悔しそうに顔を歪めた

「俺は…親の為に…
   親父の病院を救うために
   ヒジュと結婚したんだ

   そうでなかったら
   チャンミン…
   君のそばを離れたくなかった」

シオンさんは僕の手を握ろうと
手を伸ばした

ユノさんが
そばにいるわけじゃないけど
こんな事…
ユノさんが嫌がるとわかっているから

思わず僕は
自分の手を引っ込めてしまった
そんな僕を見て

「悔しいな
   そんなに…彼の事が大切なのか?」

僕はこくりと頷くと
しばらく黙ったまま考えた

僕がシオンさんと 
ずっと一緒にいたら
もしかしたら答えは
違っていたのかな?

それは違う…

僕とユノさんが出会う事は
きっと
生まれる前から
決められていた運命だったんだと…

いろいろ悩むよりも
自分の気持ちを大切にしたい…

僕はやっと
答えを出す事が出来た

「シオンさん…
   あなたも僕の大切な人です
   ずっと、良い先輩でいて下さい」

シオンさんは
僕がそう言いだすのが
わかっていたのだろう…

仕方がないとでも言うように
残念そうな顔で僕を見つめた

「良い先輩…そうだよな
   俺は君にとっては
   そんな、存在なんだな…」

「シオンさん…」

「それでもいいよ
    君がそう望むなら
    それで満足するよ」

シオンさんの本心は
わからないけど…

そう言って
微笑んでくれたんだ