テヨンさんが
退院したと知らせがあった
数日後

俺たちはテヨンさんの
マンションへと向かった


「ユノ
テヨンさんが…

ううん
2人が幸せになってくれると
いいな…」

チャンミンは
少しだけ不安そうに
俺を見つめてそう言った

「大丈夫だよ

テヨンさんなら
きっと大丈夫」

安心させる様に
頭を軽く撫でた

色とりどりの花束を
両手に抱えて
俺を見つめるその姿に
思わず見惚れ

花よりも
ずっとお前の方が綺麗だ…

俺は
愛して止まない人を
手に入れた

その事に
ほんの少しだけ
テヨンさんに対して
後ろめたさも感じる


だけど…


訪れたマンションの
ドアが開いた途端

「いらっしゃい!」

ユンがとびきりの笑顔で
俺達を迎えてくれた

その時、俺の中で
大きな安堵の気持ちが広がって

「待っていたよ」

テヨンさんの
ユンに向けられた
優しい微笑みに
全てのパズルのピースが
はまった気がした

「ありがとう ユノさん」

ユンの幸せそうな
笑顔が眩しくて

「テヨンさん
あなたが幸せなってくれると
僕も嬉しい…」

チャンミンは
2人の顔を交互に見つめ
心から嬉しそうに微笑んだ

「ありがとう チャンミン」

テヨンさんは
視線をユンに向けると
俺達の目の前で
ユンの肩を抱き寄せた

ユンを映し出す
テヨンさんの瞳の奥には
何の翳りも無くなっていた

「僕は今
本当にとても幸せだよ

だからもう
心配はいらない」

テヨンさんの言葉に
チャンミンは
こくりと頷いた

「僕が君と出会ったのは
ユンとこうなるために
必要な事だったのかもしれないな

今だから
そう思えるのかもしれないけれど…」

テヨンさんは
これ以上ない程に
優しい眼差しを
チャンミンに向けて
そんな言葉を口にした

ユンはテヨンさんを見上げて
驚きながらも
顔を赤らめて
嬉しそうな顔をして見せた

春の陽ざしのような
暖かな空間

一緒にいる俺達をも
包みでくれる
その穏やかな空気


俺はただ…黙って
その中で考えた

テヨンさんの
本当の気持は
推し量る事は出来ないけれど

目の前の
2人の幸せを実感して
とても嬉しくて…

だけど
それと同時に

テヨンさんの
大きな心を羨ましいと思った

俺はこの人以上の
男になって
チャンミンを必ず
誰よりも幸せにしたいと
心に誓った