ユンside

2人きりの病室の中
部屋の中は静かで
外から聞こえる人声が響くだけ

僕を見つめるテヨンさんの瞳

いつもよりも
暖かく感じるのは
僕の願望なのかな?

「ユン…」

テヨンさんは
もう一度優しく名前を呼んで
僕に向かって
手を差し出した

チャンミンさんを
握り締めていたその手を
僕に向けてくれているのは

それは…どういう意味なんですか?

「ユン …手を握って…」

テヨンさんは
優しい微笑みを浮かべ
僕の手を取った

暖かい彼の手が
僕の手に触れて
指が絡んでくる

ただ…
それだけなのに
胸が締め付けられるほど
嬉しくてたまらなくて

不意にポロポロと
涙が瞳から溢れ出した

「今までの事 許してほしい」

テヨンさんはそう言うと
握り閉めた手を引き寄せて
僕の身体を大きな胸の中に
抱き締めてくれた

「僕は、貴方の事を
ただ…愛したかっただけなんです
僕の望みは
貴方の側にいる事だけだったから

貴方が何を見ていても
誰を想っていても
大丈夫だと思い込もうとしてた

だけど本当は…ずっと
僕だけを見ていて欲しかった

貴方にその一言が
ずっと言えなくて…」

僕がそこまで言った時

「ユン お前を愛してる…」

テヨンさんは
優しい声で僕の耳元で囁いてくれた

その一言で
僕はもう何も考えられない程
頭の中が真っ白になって

テヨンさんに抱き締められながら
ただ…彼の温もりに包まれて
幸せに浸っていた

ふと気がつくと
唇に暖かい感触を感じた

貴方からの初めての
深い口付け

何時も、キスをするのは
僕が強請った時だけで
それ以上は触れ合った事すらない

そんな僕達の関係が
これから変わっていくのかな?

そうだったら…
いいと

きっと
変わって行くんだ

そう信じてる

テヨンさん…
ずっと愛してる…