「シオンさんは僕を
弟の様に可愛がってくれて
テジョンが
僕に何かするんじゃないかと
何時も気にかけてくれていました

本当はずっと側にいてやりたかったけど
親の頼みを断れなかったと
何度も僕に
謝ってくれました

テジョンも
もう何年も、僕の前に
姿を見せなくなったから
僕が、もう大丈夫だと言ったんです

シオンさんが、やっと
自分の幸せを見つけてくれたから…」

チャンミンは少し
寂しそうな微笑みを浮かべた

チャンミンは
シオンさんと事…
どう思っているのだろう…
そんな思いが頭をよぎった

そして、あいつ…
チャンミンの恋人だと思い込んでいた
シオンさんが結婚して
チャンミンが1人になったからと
テジョンは再び
言い寄って来たのか…

そう思うと、俺は
無性に腹が立った

「テジョンに誤解されて
すみません

僕なんかの….
恋人と間違えられるなんて
嫌な思いをさせました」

チャンミンがすまなそうな顔で
俺に謝るけれど…
それを、嫌だと思わない
自分の気持ちに気が付いた

それよりも
テジョンの事の方が
気になった

さっきの男の怒りは
尋常じゃなかった

昼間だったし
俺達がいたから
あれくらいで済んだけど
あの様子だと
また…押しかけて来かねないと
心配になった

「俺は大丈夫だけど…
チャンミン、君の方が
心配だな」

「何がですか?」

「あいつ…またここに
押しかけてくるんじゃないのか?」

チャンミンよりも
体格がいいあの男に
襲われでもしたら
力じゃ敵わないかもしれない

「よかったら…
しばらく、俺たちの家に
来ないか?」

「えっ?」

チャンミンが驚いた顔をした

「ここにいるよりは
安心だろう?
テミンも喜ぶし
部屋もあるから
俺の家に住まないか?
今度は俺が
君を守るよ」

チャンミンを守ると言った
シオンさんに
負けたくない

俺の胸の中に
そんな気持ちが
湧き上がってくる…

チャンミンは
考え込むように俯いた

しばらくして
俺の顔を見上げて

「お世話になります
よろしくお願いします」

頭を下げた

「早速、荷物を用意したらいい
ここを出るなら
今日のうちがいい」

「わかりました」

チャンミンは
クローゼットを開けて
スーツケースに
必要な物を詰め始めた

チャンミンを寝室に残して
俺は、テレビを見ている
テミンの所に戻った

「パパ お腹が空いた」

俺を見るなり
そう言った
テミンを抱き上げた

「テミン
御飯はお家に帰ってからにしような」

「パパ どうして?
お兄ちゃんは?」

テミンが、不満そうに頬を膨らませた

「お兄ちゃんが
お家に来てくれるんだよ

しばらく、一緒に暮らす事になった」

「えっ!本当‼︎」

「だから、御飯はお家に帰るまで
我慢するんだぞ」

「うん!わかった!」

さっきと打って変わって
テミンは嬉しそうにはしゃいだ

それから
荷物を持った
チャンミンと3人で
俺の家へと向かった