幼い頃から僕は
人見知りが酷くて
いつも1人でいる事が多かった

今日も図書館で
本を読んで、静かな時間を
楽しんでいた

「ここ空いてる?」

4人掛けのテーブルに
1人で座っていた僕は
不意に声をかけられた

本から視線をあげて
周りを見渡すと
空いている席があるのに
僕に声をかけたと知って
不思議に思った

「君、いつも1人だけど
寂しくないの?」

僕の目の前に座って
頬杖をついて
僕が読んでいる本を覗き込んだ

「べ…別に寂しくなんかありません」

「そう?俺にはそう見えないんだけど…」

少しだけ唇の端をあげて笑った
一つ年上のシオンさん

彼はその後
何かと話しかけてくれた…

最初は戸惑っていた僕も

「チャンミン この本面白いから
読んでみて」

僕の好きな作家の
最新刊を渡して
笑顔を僕に向けるシオンさんに

いつの間にか 僕は
彼と話す事に
抵抗を感じ無くなっていた

本を読んでいる
シオンさんの姿は
いつも穏やかで…
彼を見て過ごすこの時間が
僕の毎日の楽しみになっていた


その日
シオンさんは
まだ図書館に来てなくて
僕は本棚の間に立って
その日読む本を探していた

しばらくして
突然、後ろから声が聞こえた

「お前 先輩の事が好きなの?」

今までほとんど話した事がない
同級生のテジョンが
いつの間にか僕を
本棚の間に閉じ込める様に
通路を塞いで立っていた

毎日、図書館で僕達がいるのを
見ていたとも…
呟いた

「そんなんじゃないよ
ただ、一緒に
本を読んでいるだけだよ」

僕は慌て否定した

人と馴染めない僕に
気安く話しかけてくれたのは
シオンさんが初めてだった
だから…気持ちを許せた

「そんな風には見えなかったけど…
まあいいや
だったら、俺と付き合って
俺…前からお前の事が好きなんだ」

突然の告白に、僕は驚いた

「それな事…いきなり言われても
それに…僕は男だよ?」

「人を好きになるのに
性別は関係ないだろ?
お前、そこいらへんの女より綺麗だし
俺の好みなんだ」

無茶な事を言われて
戸惑う僕の事を見ながら
テジョンがいきなり腕を掴んだ

「付き合ってみて
俺の事を好きになってくれればいいから」

顔を近づけて、にやりと笑うテジョン

僕はどうしていいのかわからなくて
怖くなって、体を震わせていた