動物園ではしゃぎ過ぎて
疲れたのか
テミンは帰り道では
俺の背中におぶわれて
眠ってしまった

「このまま、家に帰ります」

そう言った俺を
約束だからと
チャンミンは自分の家に誘ってくれた

俺達を部屋に招き入れると
背中のテミンを抱き上げて
自分のベッドに寝かせるため
寝室へと連れて行ってくれた

リビングに戻って

「コーヒー入れますね」

俺をソファに座る様に促した後
キッチンに立って
コーヒーを入れ始めた

ソファに座って
部屋の中を見渡した

綺麗に片付けられて
物が少なくて
掃除が行き届いた室内

テミンおもちゃで溢れ返った
俺の家とは大違いだと思った

あまりに部屋の中をジロジロ見る
俺の視線に気がついて

「何もない、部屋でしょう?」

俺の目の前にコーヒー差し出しながら
チャンミンが
恥ずかしそうに顔を赤くした

「俺の家は
いろんな物でごちゃごちゃしてるから
羨ましいよ」

俺の言葉を聞いて
チャンミンは口元に手をあてて
クスッと笑った

「テミンがいるから
仕方ないですよ
子供がいるとそうなります
僕は1人だから
あなたが羨ましい」

少し寂しそうな表情に変わった
チャンミンに気がついて

「恋人は…いないんですか?

思わず、そう尋ねてしまった

「恋人どころか、家族も居ません…

小さい頃に両親が離婚して
父とは連絡を取っていませんし
育ててくれた母も
去年、病気で亡くしました

だから、テミンがいる
あなたが羨ましいです」

同じ様な境遇のチャンミン
彼の寂しさが
痛い程よくわかる

「俺も…テミン以外の家族は
誰もいないんですよ」

両親と兄を亡くした事を告げると
チャンミンは驚いた顔をした

「僕と同じ何ですね…」

「ええ、俺も1人です」

「あの…奥さんは、離婚されたんですか?」

聞いてしまって

「すみません 立ち入った事を
聞いてしまいました」

慌てて、チャンミンが謝った

「……テミンの母親は
この子が、2つの時に
仕事で外国に行きました

ずっと向こうで暮らすからと
テミンを置いて…」

「そうなんですね…
そんなに小さな頃から
あなたが一人で
テミンを育ててきたんだ…」

チャンミンは
なんとも言えない表情で
俺の顔を見つめた

「僕と同じで
他に頼る家族がいないのに…
大変だったでしょう?

僕でよかったら
何でも言って下さい
ナミさんがいるでしょうけど
困った時は
頼って下さいね」

そう言ってくれた
彼の気持ちが
心から嬉しかった

「ありがとう…
そう言ってくれて
嬉しいよ」

「僕も、テミンが大好きですから
一緒にいれると楽しいんです」

優しさに溢れた言葉…

チャンミンの淹れてくれた
コーヒーの香りと湯気

そして彼と共に過ごす時間に
とても癒されるのを感じていた