「ユンホさん 今日は僕が
テミンをお預かりします
ゆっくり休んでくださいね」

テミンを抱き上げながら
俺に向かって
チャンミンはそう言った

いつも、休日は
テミンの相手をして疲れるから
チャンミンの申し出は
本当に嬉しかった

だけど、チャンミンと
一緒にいたい気持ちもあったので
少し残念な気がした

「えーっ? パパも一緒に遊びたい!」

チャンミンの言葉を聞いて
テミンが
大きな声で駄々を捏ねた

「テミンは、僕のおうちで
遊ぶんだろ?」

「パパも一緒じゃ 駄目なの?」

テミンが
今にも泣き出しそうな顔で
俺たちを見上げるから
俺とチャンミンは顔を見合わせた

一度言い出したら
なかなか折れない
テミンに押し切られて
結局、3人で出掛ける事になった

「せっかく天気がいいから
動物園に行きませんか?
帰りに、僕の家に行きましょう
夕食を作りますよ」

チャンミンの提案に
テミンは、とても嬉しがった

「パパとお兄ちゃんと一緒だ‼︎」

俺もテミンと同じくらい
嬉しかった

こんなに、誰かと
一緒にいたいと思う気持ちになるのは
久しぶりの事だった

こんな風に
誰かと出掛けるのも
どれだけぶりだろう…

テミンが物心ついた頃には
俺といつも2人だけ

だから、俺じゃない
誰かと出掛けるのが
嬉しくて仕方がない
テミンの気持ちが
痛い程よくわかる

チャンミンの顔を見上げて
にこにこと笑いかけ
俺の顔と彼の顔を
交互に見つめて
嬉しそうに笑うテミン

そんなテミンを見て
俺の顔も自然と綻んだ

チャンミンの
テミンを見つめる視線の
優しさと
その綺麗な横顔に
何度も見惚れて
ゆっくりと
並んで歩いた

いつもと違う日曜日
今日は楽しい日になりそうだ…


動物園に着くと
テミンがゾウさんが見たい
お猿さんも見たいと言いながら
俺たちを引っ張りました

俺とこんな場所に来る事も
数少ないので
テミンのはしゃぎ様は
半端なかった

そんなテミンを
チャンミンは嫌な顔一つせず
にこにこ笑いながら
付き合ってくれた

いくら、子供の扱いに
慣れていると言っても
チャンミンも仕事をしているから
疲れているだろうに

だけど、約束だからと
貴重な休日を
テミンに付き合ってもらって
感謝の気持ちで
いっぱいだった

「せっかくの休みに
付き合ってもらって
すみません…」

動物と触れ合う場所で
うさぎと遊ぶテミンを
柵の外から2人で見守っている時
チャンミンの横に立って声をかけた

「 僕も楽しいんです…
テミンが、弟みたいで
可愛くて仕方がないんですよ

だから、本当に
気にしないで下さい」

チャンミンは
テミンから俺に視線を移して
俺の事を正面から見つめた

その薄茶の瞳の色が
綺麗だ…と
俺はまた、見惚れていた…