「パパ 今日はまた
ナミさんと病院に行って
お兄ちゃんと会って来たよ」

ナミさんが作ってくれた
夕食のハンバーグを
口いっぱい頬張りながら
テミンが嬉しそうに
話してくれた


週に一度、怪我の様子を
見せに行くために
外科の外来に行くテミンは
ナミさんにわがまま言って
チャンミンに
会いに言っていた

正直なところ
彼に会えるのなら…
本当は俺が一緒に行きたいと思う

でも、仕事があるので
平日は中々休めない

無邪気なテミンが
羨ましいと思った

「そうだ! パパ
今度の日曜に
お兄ちゃんのおうちに行く
約束をしたんだけど
行ってもいい?」

「えっ⁈」

テミンがいきなり
そんなことを言い出すから
俺は驚いて聞き返した

「チャンミンさんの家に行くのか?」

「うん!お兄ちゃんと
いっぱい遊びたいと言ったら
じゃあ、今度おうちに遊びにおいでと
行ってくれたんだ」

「お前、どうやって
チャンミンさんの家に行くんだ?」

勝手に約束なんかして
どう言うつもりなんだろう…

半分呆れながら
テミンに聞くと

「お兄ちゃんがうちに
迎えに来てくれるって!」

嬉しそうにはしゃぎながら
そう答えた

そのテミンの返事に
俺は驚いた

俺になんの相談もなく
ここの住所を教えたのか?

テミンの勝手な行動に
少し腹が立ったけれど
だけど
これで、俺もまた
もう一度チャンミンに会う事が出来る…

そう思い直して

「そうか…良かったな」

テミンの頭を撫でてやった


その日から
日曜が来るのが
待ち遠しいと思うようになった

約束の日
テミンは嬉しくて仕方がなくて
朝から、テンション高く
ずっと、家の中を走りまわっていた

そんなテミンに眉をしかめて
見つめながら
家の中の掃除をしている俺も
気持ちがソワソワして
なんだか落ち着かない

テミンと一緒になって
時計とにらめっこしていた

予定の時間よりも
30分ほど遅れている

「パパ お兄ちゃんまだかな?」

待ちきれない様子で
テミンが俺の顔を見上げた時
訪問を告げるチャイムが鳴った

「あっ! お兄ちゃんだよ!」

インターフォンに映った
チャンミンの映像を見て
テミンが大声を出して
玄関へと向かった

「遅くなって ごめんね」

ドアを開けるなり
自分に飛びついて来た
テミンを抱き上げて
チャンミンが謝った

「お兄ちゃん!待ってたんだよ!」

チャンミンの顔を見て
テミンは嬉しそうに笑った

久しぶりに会う
彼の姿を見て
俺も何故だか
とても嬉しかった

やっぱり…
綺麗な人だなぁ…

テミンに微笑みかける
チャンミンの横顔に
見惚れて…
玄関に立ち尽くしていた