今日もステージに上がる

スポットライトを浴びて
だんだん興奮するのを感じる

音楽が聞こえてくると
自然と体が動き
音に合わせて、声が出る

自分の声が遠くで聞こえる
それくらい熱中していた

ふと、テミンの動きが目に入った
僕とは違う、キレのある動き

僕のは音楽に合わせて
リズムをとっているだけだ

でも、テミンのは違う

一つ一つの動きがとても綺麗で
みんな、テミンに釘付けになっている

「チャンドラ!」
ユノさんの声が聞こえて、我に返った

いけない、まだライブの途中だ
意識を集中して、また歌い出した


歓声に包まれてライブが終わった
楽屋に戻ると、ユノさんが腕組みして
僕らを待っていた

咄嗟に、僕は怒られる、と思った

「チャンドラ…ステージで何考えてた?」

ユノさんは、静かな声で僕に聞いた
テミンや他のメンバーも
僕が何と答えるのか、じっと待ってる

「あ…あの、テミンの動きが綺麗だと
見惚れてしまって…ごめんなさい」

僕は、恥ずかしくて
情けない顔で答えた

とたんに、みんなが笑い出した

「チャンドラ!お前スゲー余裕…」

「俺なんか、自分の演奏がやっとで
今だに、周りなんか見えないけどさ~」

「へっ?」

僕は、怒られてるんじゃないのか?

テミンがクスクス笑っていた

「褒めてくれてありがとう
僕はダンス習っていたからね」

ダンスか…
テミンのように、体を動かしたい
僕の中に、新しい欲求が生まれたのを感じた