いつもの自分に戻って家に帰った

「ただいまー」

声をかけて、リビングに入った

「おかえり、遅かったわね」

母さんが、食器を洗いながら声をかけて来た

「うん、父さんに頼まれた本取りに行ったら
友達と会っちゃって、ずっと話ししてた」

動揺しないように、母の顔を見ずに答える
生まれて初めて、親に嘘をついた

「御飯、食べる?」

「友達と、軽く食べちゃったから
まだ、いいや」

そう言って、頼まれた本をテーブルに置くと

「少し、勉強してくるから
部屋に行くね」

逃げるように、自分の部屋へと向かった

「ふぅ…」
部屋に入って、溜息をついた
やっぱり、嘘をつくのは嫌だな…
だけど、正直に話す事は出来ないから
慣れるしかないのか…

ベッドに寝転がって、今日の出来事を
思い出した

あの時、テミンとぶつからなかったら
いや、父さんに頼まれ事をされなかったら
あのステージに立つ事はなかった
そう、考えると
とても不思議だった

出会うべくして、出会ったのか…

昨日までと違う自分
ステージに立った興奮を
思い出して、ドキドキしている

両親には、悪いと思うけど
やっぱり、ライブを続けたい
僕は、そう決心した

その為には、今までのように
ずっと良い子ではいられないけれど
僕は、僕の人生を歩きたい
そう思う自分を止められないと思った