「お疲れ!」

ステージを降りた僕は放心状態だった

バンド仲間に肩を叩かれて
我に返った

初めてのステージはとても緊張した
だけど、凄く興奮した
こんなに達成感を感じたのは
今までになかった

スポットライトを浴びて
ステージに立つ
緊張で足が震えた
だけど
音楽が流れ出すと、自然に体が動いた

リズムを刻む感覚が楽しかった
自分が自分でないみたいに
不思議な感じがした

我に返ると、ライブが終わっていた
それくらい、夢中で歌ってたんだ

「チャンドラ!やるじゃん!」

「お前、ステージが初めてって
嘘だろ?」

みんな、それぞれに声をかけてくれた
テミンも嬉しそうに

「チャンドラがここまでやってくれるとは
思わなかったよ」

そう言ってくれた
僕は、ちゃんと演れたんだと思ったら
何だか、嬉しかった

「これからも、やってくれるだろう?」
テミンに聞かれて

「え?僕で、いいの?」
と、聞き返した

「もちろん、いいに決まってるよ!」
テミンが言うと、みんなが頷いて僕を見た

一瞬だけ両親の顔が浮かんだけど
この興奮をもう一度感じたいという
気持ちの方が強かった
「これから、よろしくお願いします」

こうして、僕は正式にバンドのメンバーとして
受け入れられた


だけど…
「どうしよう…この髪…」

化粧は、クレンジングで落とせるけど
ワックスで固めた髪は洗わないと
落とせない…
トイレで洗うしかないかと
思っていたら

「奥に俺のプライベートルームがあるから
そこで、シャワーを浴びるといい」

ユノさんが声を掛けてくれた

「初めに連れてこられた時の
格好見れば判るよ
チャンドラは、良い子ちゃんの
真面目な学生だろ?
いつもと違う格好して帰ったら
親が驚く…
シャワー浴びて、落として帰りな」

そう言って、僕の背中を押して
奥にある、ユノさんの部屋へと
連れいかれた