いよいよ、ステージに上がる時間が
近づいてきた

段々と緊張感が僕を包んで
体がガチガチになってきた

テミンがそんな僕を見て

「今日は、ステージに立ってて
くれるだけでいいんだからさ
気楽にいこうよ」
そう言って笑った

そうは言うけど、人前に立った事すらない
僕が、ステージに上がるだけでも
怖いんだって…

すると、ユノさんが近づいてきて
僕の顎を指で持ち上げた

「忘れもの…」

ユノさんの綺麗な顔が近づいたと
思ったら、僕の唇に冷たい感触がした

「リップグロス、忘れてる…」

バンドのみんなはバンド名の
SHINEE RIPSに合わせて
グロスを塗って、濡れた様な唇をしていた

「お前…その唇、エロいな」

ユノさんは、そう言って笑った

「な!何言ってんですか!」

僕は、
顔を真っ赤にして
ユノさんの指から逃げた

ユノさんは、大笑いしながら

「お前、可愛いな」

そう言うと、楽屋を出て行った

僕は男なのに、可愛いなんて冗談じゃない
ユノさんは僕をからかって楽しんでる
そう、腹立てていたら
緊張感がどこかにいってしまった

あ、だからユノさんは…

そう思った時
テミンの声がした

「チャンドラ、いくよ!」

そうして、僕は初めての
ステージに向かって、駆け出した