ユノさんの後ろ姿に見惚れていたら
テミンに声をかけられて、我に返った

「ユノさんに恋しても駄目だよ」

僕は慌てて、首を振った

「そんなんじゃありません
とっても綺麗な人だから
見惚れてしまって……」

「だったら、いいけど
あの人、誰も好きにならないから
好きになると辛い思いするだけだからね」

初めて会った、しかも男の人に
恋する訳なんか無いのに
なんで、そんな事言うのか?
僕は、テミンを不思議そうな顔で見た

テミンは、そんな僕の様子を見て
安心したのか

「他のメンバー紹介するね」

そう言って、みんなに引き合わせてくれた

ドラムのリュウ
キーボードのキー
ギターのジョンソン
ベースのレイ
そしてボーカルのテミン
グループ名はSHINEE RIPS

これが、今日出会ってしまった仲間達だ

「チャンミン、ステージネームどうする?
チャンミンのままでいいのか?」

テミンに聞かれて困った
チャンミンのままは不味いよな

もしも、同級生に見つかったら
両親に知られてしまう危険がある

「名前、変えたい…」

僕がそう言うと、

「なら、チャンドラにするといい…」

部屋を出たと思ってた、ユノさんの声がした

「チャンドラ…それでいいの?ユノさん…?」

何故かテミンは、複雑な表情を浮かべて
ユノさんを見た

「いいんだ….テミン
チャンミンだからチャンドラ…
いいだろう?」

ユノさんは、僕を見て言った
僕にはいい名前だと思った

「ありがとうございます、ユノさん」

僕がお礼を言うと
ユノさんは優しく微笑んでくれたが
テミンは何故か不満そうだった

僕の知らない何かが
二人の間にあるのだろうか?
だけど
今の僕はステージに立つ事を考えるだけで
精一杯で、他の事は目に入らなかった

それから、通しでリハーサルを始める

知っている曲も半分くらいあるし
知らない曲は口を動かす振りをして
ちょっと踊って見せたりして
なんとか様になって来たようだ

ユノさんは、そんな僕らを
客席の1番奥の壁にもたれ掛かりながら
ずっと見守ってくれていた