チャンミンは苦しそうに
俺を見上げた
話の内容の壮絶さに
俺は言葉を発することが
出来なくて
ただ、話しを聞くことが
精一杯だった

「スルギが、お金を要求しては
   暴れるから
   僕は親戚の家を出て
   父の友人だったシウォンさんの
   お店で働かせてもらいながら
   1人暮らしを始めたんです

   でも、そこにも押しかけてきて 
    ある日、
    酔っ払ってやって来たあいつが
    急に僕に襲いかかって来た
    まるで女の子にするみたいに…」

そう、言うと唇を噛み締めた

「でも、ちょうど訪ねてきた
   僕の友達が、助けようとして
   もみ合いになってしまった
   そして、スルギがカッとなって 
   その友達を刺してしまったんです」

俺は絶句した
スルギが人を刺していた…

「その友達の怪我は?」

「幸い、腕を掠めただけだったけど
   騒ぎを聞いた、近所の人が
   警察を呼んでくれたので
   スルギは連行されて、
   少年院行きになってしまいました」

チャンミンは目を閉じて
微かに体を震わせてた
まるで、迷子の子犬が
不安で打ち震えているようにも
見えた

「少年院から、でてきたんだね
  また、君の所に押しかけようと
  しているんだ」

チャンミンは黙ったまま、
小さく頷くいた

「とにかく、ここじゃ
   寒いから、部屋に行こう」

そう言って、チャンミンを
促すと、車から降りて
マンションに入った

エレベーターで10階まで
上がる途中も
ずっと、俯いたまま
もしかしたら、泣いているのか
時折、肩が小さく震えている

俺よりも高い位の背丈なのに
儚くて、今にも折れそうに
感じてしまうのは
痩せて、丸みを帯びた
なで肩のせいだろうか

後ろから、抱きしめて
支えてやりたい衝動にかられたが
今のチャンミンを
怖がらせてしまうだけだと思い
自分の手を握りしめて
堪えた

それほど、チャンミンは
儚げで、頼りなさげだなった
けれども、俺は
その姿が
とても、美しいと思ってしまった