10.ロンさんが、ちょっと恥ずかしく思ったりした話
教室に習いに来る他の子供たちは、たくさん紙を欲しがりましたし、いろんな色を使って絵を描くことが大好きだったので、一枚の紙の裏と表に、何度も描いた絵を消しながら描き続けるエイミーをみて、びっくりしました。そして、なんて変な女の子なんだろう、と思いました。
でもロンさんはそうは思いませんでした。
彼は、なぜかとても恥ずかしかったのです。でもそれがなぜかはわかりませんでした。
お昼の時間になって、他の子供たちがみんな帰っていっても、エイミーは帰りませんでした。お昼ごはんをどうするのだろう、とロンさんは心配しましたが、”本当の先生”が
「私のお弁当を半分お食べなさい」
といったので、まるくおさまりました。
ロンさんはいつもなら、お昼ごはんを食べながら川べりをあるくのですが、今日は近くのパン屋さんでサンドイッチとコーヒーを買うと、すぐに絵の教室へ戻りました。そして、”本当の先生”と、他の二人の”本当の先生”(彼らは大人のクラスを教えているのでした)と、エイミーと一緒にごはんを食べました。エイミーは、お昼を食べ終えると、またすぐに絵を描き始めました。
そのとき、ばんっ、という大きな音がして、入り口の扉が開きました。みながいっせいにそちらに顔をむけると、そこには、真っ黒なワンピースを着て、真っ赤な口紅をつけた、女の人が立っていました。そしてひとこと、
「エイミー、どうしてこんな所にいるの!」
と叫びました。
それを聞いて、ロンさんはなんだかひどく気分を害されたように感じました。