9.エイミーが鉛筆で絵を描く話

午前中の絵の教室は、二つのクラスがあり、一つは子供用、もう一つは大人用でした。
エイミーは、子供用のクラスのはしっこに、準備室から持ってきてもらった大きな椅子を机がわりにして(自分は床に座って)、ロンさんが用意した一枚の白い紙と鉛筆で絵を描きはじめました。
最初”本当の先生”は、色とりどりのサインペンを使うことを提案したのですが、エイミーは首を横にふってから
「どうぞおかまいなく。でももしよろしければ、紙と鉛筆をいただけるかしら?」
と大人びた口調で言ったのでした。
エイミーは、絵を描くのがとてもはやくて、白い紙はすぐに真っ黒になりました。
「もう一枚、新しい紙がいるかい?」
他のいつも来る子供たちに水彩絵の具のぬり方を教えていたロンさんが、ふと思い出したようにエイミーに尋ねると、エイミーはこう答えました。
「いいえ、いらないわ。そのかわり、消しゴムをちょうだい」
ロンさんが消しゴムを持ってくると、なんとエイミーは自分が白い紙の表と裏に書いた絵を全部消してしまいました。
びっくりしたロンさんがだまってみていると、エイミーは、せすじをぴんと伸ばしていいました。
「こうすれば、いくらでも描いていられるでしょう?」