2.ロンさんの部屋の天井がななめになっている理由

月が出る頃にも、ロンさんは川べりにいます。今度はもううろうろすることはやめて、昼間は白とピンクの縞模様のキャンディや、ナッツやキャラメルのはいったチョコレートを売っている小さなスタンドの横のベンチで、じっと川をみつめるのでした。
お昼間は、いい匂いのするお菓子を買いにくる子供たちでにぎやかですが、夜になると、大人しかいなくなります。大人はきまって、川べりをあるくので、ちょっと奥まったところにあるスタンドやその横のベンチのあたりには、ロンさんの他に誰も来ないのでした。
そこでロンさんは色々な星がでてきて、ちょっぴりさみしくなるまで、ずっとベンチに座り、川をみつめるのです。
毎日のように、ロンさんは川までやってきますが、雨の日は別です。絵の教室の仕事のある日は、アパートメントからまっすぐに教室へ向かいます。お昼はほとんど食べません。(なんて不健康なんでしょう!)仕事が終わると、まっすぐにアパートメントに帰ります。仕事のない日は、一歩もアパートメントの自分の部屋から出ません。
そうそう、ロンさんの住んでいる401号室のお話をしなくてはなりません。ナンさんのアパートメントは、外からちょっとみただけだと、3階建ての建物のようです。けれどじっとよくみてみると、屋根のなかほどに小さな窓を4つみつけられます。それが401号室から404号室の部屋の窓です。これらの部屋は、窓に近寄るほど、天井がひくくなっています。だから他の部屋より、家賃がちょっとばかり安くなっています。ロンさんは天井が少々ななめになっているのは気にならない人でしたので。迷うことなく4階の部屋を選びました。