男の子と女の子「理解できない」の質は違う
―母親の“罪悪感”と“過干渉の盲点”をほどくために
「理解できない」の正体を知らないまま育てると、親子関係は静かに壊れていく。
子どもが思春期に入ると、母親の胸に必ず湧く感情があります。
それは、
「なぜこの子は、こんなにも“理解できない”のだろう?」という戸惑いです。
しかしあなたが理解できないのは、
あなたが母親として欠けているからではありません。
“理解の仕方そのもの”が、
娘と息子ではまったく違うからです。
娘は「心」を見られたくなくて距離を取る。
息子は「領域」を守るために沈黙する。
にもかかわらず多くの母親は
同じ言葉で、同じ関わり方で、
“まったく違う器”に水を注いでしまうのです。
同じ温度の水でも、
注ぐ器によって、
氷にも蒸気にもなる。
この違いを知らないまま子育てを続けると、
・過干渉
・感情の読まれすぎ
・沈黙への誤解
が積み重なり、親子関係はゆっくりと疲弊します。
この記事は、
そんな母親の盲点を静かにひらき、
「理解できない」は“正しい成長”である
と腹落ちさせるための解説です。
◎娘と息子は「同じ言葉で育ててはいけない」
母親が無意識にやってしまう失敗がひとつあります。
それは、
「自分が理解できるコミュニケーション」を
子どもにも適用してしまう こと。
しかし娘と息子は、
まったく違う方法で世界を認識し、
まったく違う方法で母親の言葉を受け取っています。
・娘は “感情” に反応する
・息子は “領域” に反応する
つまり同じ言葉でも
娘には刺さり、
息子には重く、
別方向にねじれながら届く。
このねじれを解かないまま
「わかりあおう」とすると、
関係はさらに崩れていきます。
____
家族療法の視点では、
思春期は「分化の時期」と呼ばれます。
“分離”ではなく“分化”。
つまり母と子は切り離されるのではなく、
互いに違う存在として立ち上がる時期です。
・娘は「私は私」を確立したい
・息子は「これは俺の領域だ」を守りたい
この分化のプロセスは、
男女でまったく異なる心理メカニズムを持っています。
娘は母の感情を“内部化”しやすい。
息子は母の言葉を“外部からの操作”として受け取りやすい。
つまり娘は“感情が近すぎる”ことに疲れ、
息子は“関与が深すぎる”ことに反発する。
これが「理解できない」と感じる正体です。
◎「理解できない」と感じた瞬間こそ、成長のサイン
母親にとって、
子どもの“理解不能”は恐怖です。
けれど理解できなくなるのは、
子どもが「母の心の中」から一度退出した証。
これは分化の正常なプロセスです。
むしろ母親が「理解し続けられてしまう」方が危険。
それは子どもが“母の内部に閉じ込められたまま”自分を確立できていないことを意味します。
だから理解できないという感覚は、
“終わり”ではなく
“始まり” です。
◎「理解しなければ関われない」は幻想
多くの母親はこう思っています。
「理解してあげないと、この子は壊れてしまう」
しかしこれは逆です。
理解しようと近づきすぎるほど、
娘は“感情の侵入”に疲れ、
息子は“領域の侵入”に怒ります。
必要なのは、
理解ではなく “位置の調整” です。
◎「理解できないまま愛する」成熟した親子関係へ
これから母親が目指すべきは、
“理解をあきらめるのではなく、
理解しようと詰める姿勢を手放す” ことです。
娘には“心のスペース”を。
息子には“選択肢の余白”を。
母は「近すぎず、遠すぎない中間地点」
に座るのがもっとも強い立ち位置です。
◎今日から実践できる3ステップ
① 娘には「主語の差し戻し」
例:
「私はこう思うけど、あなたはどう感じてる?」
② 息子には「選択肢だけを渡す」
例:
「これとこれ、どっちにする?」
③ 自分には「理解できなくていい」という許可
例:
「いま理解できないのは成長の証」
……そしてここから先は、ただの“性差”の話ではありません。
多くの母親が「理解できない」と感じる瞬間。
その裏側では、子どもの心の中である特定の力学が動いています。
それは母親の努力や優しさとはまったく別の地点で発生している、
“親子関係を静かに変質させる重力” のようなものです。
この重力を読み解けないと
・正しいつもりで近づくほど逃げられる
・見守っているつもりで傷つけてしまう
・気を遣うほど会話がズレていく
そんな“不可解なすれ違い”から抜け出せません。
ここから先ではこの重力の正体を、
家族力動・発達心理学・性差心理学を束ねて完全に言語化します。
あなたの子育ての視界が、
ここから一気にクリアになります。
https://note.com/hapihapi7/n/n8028953bdf00
