父親の役割とは?「分かってくれない」が子どもの社会性を育てる





父親が「分かってくれない存在」と感じられる関わりは、子どもの社会性を育む大切な“他者性”の体験です。
本記事では、母親との違いが子どもの成長にどう影響するのかを解説します。










子どもにとって「母親は分かってくれる人」「父親は分かってくれない人」と感じられることがあります。
しかし、この“分かってくれない存在=父親の他者性”こそが、子どもの社会性や自立心を育てる大切な要素です。
本記事では、母親と父親の役割の違いが子どもの成長にどう影響するのかを、心理学的な視点から解説します。



父親の「分かってくれない」は本当にマイナスか?



親と子の関係を考える際、母親は「自分を理解してくれる存在」、父親は「時に理解してくれない他人」と捉えられることがあります。
この、父親が持つ“他者性”こそが、子どもの成長において非常に重要な役割を果たしているのです。




母親は「理解してくれる人」



子どもにとって、母親は最も身近で、自分の感情や考えを深く理解してくれる存在です。
母親との関係を通じて、子どもは安心してありのままの自分を表現し、受け入れられる経験を重ねます。
この無条件の愛と受容は、自己肯定感を育む上で不可欠です。




父親は「分かってくれない人」?



一方で、父親は母親とは異なる関わりをします。
小さな悩みや一見非論理的な主張に対し、「なぜそう思うの?」「それは違うんじゃない?」と問いかけることがあります。
子どもからすれば「お母さんなら分かってくれるのに、お父さんは分かってくれない」と感じる瞬間かもしれません。

しかし、この「分かってくれない」という体験こそが、子どもの社会性を育てる鍵なのです。




“他者性”が育む社会性



もし、母親という「常に理解してくれる存在」とだけ関わって育ったらどうでしょうか。
子どもは「自分の考えは常に正しい」と思い込みやすくなり、他人との意見の衝突に対応できなくなるかもしれません。

社会に出れば、自分を理解してくれない人、異なる意見を持つ人と出会うのは日常茶飯事です。
そこで必要になるのが、“他者性”を持つ父親との関わりの経験なのです。




父親との関わりは“社会性の練習”



父親とのやり取りは、子どもにとって社会に出る前の練習の場になります。

✅「違う意見を持つ人」との対話

 父親が安易に受け入れず議論をすることで、子どもは「自分とは違う考え方がある」ことを学び、意見を論理的に説明する力を育みます。

✅「共感しすぎない他者」との関わり

 父親の共感しすぎない距離感は、子どもが感情に流されず、状況を客観的に捉える力を養うきっかけになります。

こうした経験を通して、子どもは「分かってもらえない時にどうするか」「異なる意見とどう折り合うか」といった、社会を生き抜くための力を身につけていきます。




まとめ|父親の“他者性”が子どもを育てる



もちろん、父親にも子どもを理解し、共感する役割があります。
ですが、母親とは異なる“他者性”を持つことこそが、結果的に子どもの成長に大きく寄与するのです。

父親の「分かってくれない」は、愛情の不足ではなく、むしろ子どもが社会という大海へ漕ぎ出すための力を授ける深い関わり方なのかもしれません。









子育ての「悩み」は、表面に見える子どもの態度や出来事だけではありません。
その奥には、心理や家族関係に根ざした“深い構造”があります。

私の記事では、子育てや思春期の親子関係をテーマに、「なぜそう感じるのか?」という視点を軸に、心理学・発達論・家族力動の知見から深く掘り下げて解説しています。


読むたびに、親としての視野が広がり、心が少し軽くなる文章をお届けします。