本日のご紹介は、こちらです。
※※本文抜粋※※
だれかが言った。書くことは人間最後の職業だと。
人間だれしも孤独だ。
書くことは孤独と向き合うための「手なぐさみ」なのかもしれない。
孤独の本質とは、ひとりであるということだ。
なぜひとりで生まれ、なぜひとりで死ななくてはならないか、だれも答えられない。
だがその孤独の中でしか知り得ないことがある。
(中略)
我々が人間への尊敬や愛情や共感を心に刻むのは、実に相互の孤独の中においてである。
書くこと、そして読むことは、その相互の孤独を知り、世界への尊敬や愛情や共感をただ一回の人生で自分のものにすることなのだ。
自分が読みたくて、自分のために調べる。それを書き記すことが人生をおもしろくしてくれるし、自分の思い込みから解放してくれる。
何も知らずに生まれてきた中で、わかる、学ぶということ以上の幸せなんてないと、わたしは思う。
自分のために書いたものが、だれかの目に触れて、その人とつながる。
孤独な人生の中で、誰かとめぐりあうこと以上の奇跡なんてないとわたしは思う。
書くことは、生き方の問題である。
自分のために、書けばいい。
読みたいことを、書けばいい。
※※※
この本を手に取るきっかけは、
先日「読み比べ」としてご紹介した
こちらの本でした。
どちらの著者も、
「本は読むだけで終わらせない」ことを
最後に述べられていました。
目的や目標のない読書は、
その行為に意味を見出せなくなりやすいと。
アウトプットすることで、
自分の意見にまでつなげることができる。と。
読書によって知識を蓄えることで
明確になる自分の「意見」
その「意見」とは
自分の考え方であり、事象の捉え方、
つまりそれは自分の人生の「生き方」
人生の生き方の方法のひとつとして
「書く」という行為があること
自分を知り
掘り下げ
人生を築き上げていくことは
インプットとしての読書と
アウトプットとしての書くことを通してこそ
成り立つということ
人生において
読むことと書くことは
別々にあるものではなく
それぞれを繰り返し
常に循環させていくものだと
自分の中で繋がっていきました
本文としては
とてもおもしろおかしく読み進めることができる一方で、
「文章術コラム」として
履歴書の書き方や広告の書き方、
書くために読むといい本の紹介などが
掲載されており
就活中の方や
ライターを目指されている方にも
とても役に立つ一冊だと思います
***
また、題名について
「書きたいことを〜」ではなく
「読みたいことを〜」となっていること
著者は
文章を書く際に
絶対に失ってはいけないものとして
「敬意」を挙げています
物書きは「調べる」が9割9分5厘6毛と断言し
その「調べる」ことを
「愛」することだと表現したうえで
愛と敬意が文章の中心にあれば
書くものには意味がある。と
「書きたいこと」ということには
感動を共有したいという気持ちがあることはもちろんですが
文句や愚痴なども
きっと含まれてしまうことでしょう
特に
今のご時世においては、、
著者はご自身の人生を
「言葉によって運ばれた」と話しています
言葉を扱うことを
生業とされているからこそ
著者はその言葉の力を実感し
使い方にはとても注意されていることを
一文一文から感じ取ることができます
おもしろおかしく惹きつけ
気持ちをほぐしたうえで
核心となることを
とても真摯な言葉でストレートに表現する
緩急の付け具合が本当に絶妙で
「文章術」の本であると言いつつ
なぜか泣けてしまうほど、、、
言葉が
良く使えば強力な武器になること
そして
悪く使えば最悪な凶器になることを
知り尽くしているからこそ
「自分が読みたいこと」という
分かりやすく
伝わりやすい表現を選んでいること
この言葉に
きっとたくさんの想いが込められていることを
とても強く感じます
文章術の本であり
生き方の本であること
本の副題
「人生が変わるシンプルな文章術」は
文章術を取得できるというより、
とてもシンプルにまとめられていますが
プロフェッショナルならではの文章術が駆使されていて
読む人の人生が変わる一冊を意味すると
思います
一冊の本には人を動かす力があり、
人を変える力もある。
本って、本当に素晴らしい。
それでは、また。