娘とのお散歩


手をつなぎ
ヨチヨチと歩く


どこかに行く
とか
何かをする
とか
ではなくて

目的があるとすれば
それは
ただ
お外を気の向くままに
歩くこと


道路に引かれた
白線の上をなぞってみたり


マンホールの上に
立ち止まってみたり


小石を
踏みしめてみたり


ほんのちょっとの段差を
上がったり下がったり
してみたり


歩くことを
ただ楽しみ


目に映るものの
ひとつひとつを
楽しむ


そんな
目の前のことを
ただ
楽しんでいる娘に
すれ違う人や
通りすがりの人は


微笑んで
声をかけてくれる




あえて目的を
持たないお散歩は


今までわたしが
気付かなかったことを
たくさん見せてくれる





ずっと
目的地だけを目指して
生きてきた


でも
その目的地は
いつも
ゴールではなかった


わたしの目には
いつも
目的地しか
見えていなくて
途中の景色を
楽しむ余裕はなかった


そう
感情という景色を


目的地を目指す
スピードは
いつも全速力で
息切れ気味だったから
感情なんて
余計に
胸を苦しくするだけの
邪魔な存在だった



きっと
人生のゴールが
死であることを
知らないふりで
通してきた



道路の白線のような
敷かれたレールを
歩いても良いし
あえて
外れても大丈夫だったんだ


マンホールのような
大きな穴があっても
そこには
ぜったい落ちないように
頑丈な蓋で
守られていたんだ


小石みたいな
たくさんの出来事に
つまづいたり
よけたりしながら
歩んでこれたんだ


そして
小さい段差
大きい段差みたいな
いろんな試練も
ちゃんと乗り越えて
ここまで来れたんだ


ひたむきに
歩む中で
たくさんの人に
声をかけられ
応援され
きっと
生かされてきた


もちろん
ずっと手を引いて
導き
そして
共に歩んでくれた人が
そばに居て



お日さまの
あたたかさを
もっと全身で
感じても良い


花々を
ゆっくり愛でる
ゆとりを持っても良い


恥ずかしがらずに
鼻歌まじりに
小躍りしたって良い


そして
ときにつまづいて
膝をついても
手を借りて
また
立ち上がれば良い


目的地が
あったって
無くたって

または
いくつ
あったって

そして
分からなくなったって


あの頃のように
無邪気に
歩めば良い


自由に
感じるままに
生きれば良い





わたしたちには
約束された
ひとつのゴールが
待ち受けているのだから

大丈夫