みなさん、こんにちは。

なかやまえりかです。

ご無沙汰しておりました。

すっかり暖かくなりましたね。

お元気でしたか?

 

最近は、昭和歌謡をよく聞いています。

昔のことを急に思い出したりしています。

全く忘れていたのに、どうして?なんて思いながら、

素敵な思い出も、思い出したくない心情も。

急に。

散歩の途中に流れてきたりします。

 

春、だからですか?

心がフワッとするんですか?

みなさんもそんなとき、ありますか?

 

 

 

「僕には明日のことなんて、わからないよ」彼は言いました。

 

柵の前にいます。

【ここから先には踏み込んではいけません】

芝生の柵の前。

 

私は泣いていました。

柵の前で泣いていました。

 お姉さんの言葉が私を貫きました。

「努力したんだけど、重力には逆らえなかったわ。

曲がらざるを得なかったの。」

 

私はこんなにも涙が出たことに嬉しくなりました。

私は靴を脱ぎました。靴下も脱ぎました。

若々しいミドリの芝生に足を踏み入れました。

 

くすぐったい芝生の感触に、私はさらに元気をもらいました。

芝生をぐちゃぐちゃに荒らしました。

泣いているのか笑っているのかわからなくなりました。

 

その先に彼はいました。

「阿呆だな」

彼は言いました。

 

「阿呆で、何がわるい」

私は言いました。

 

芝生をぐちゃぐちゃにしました。

私は笑っていました。

大声で笑っていました。

 

「阿呆で、何がわるい」

気が付くと、女の子が一人隣で跳ねていました。

人数はどんどん増えていきました。

 

OLさんもサラリーマンも

シドヴィシャスの崇拝者も

 

男の子が柵の外でずっと観ていました。

私はその子を抱えました。

その子と一緒に跳ねました。

 

「おろして、ぼくもじぶんのあしで」

 

私はその子の靴を脱がしました。

靴下も脱がしました。

すると、その子は洋服を全部脱ぎました。

驚きました。

手をつないで一緒に跳ねました。

 

高層ビルの54階にいた社長さんは双眼鏡でその様子を

眺めていました。

その顔はやっぱり、微笑んでいました。

 

 

うん。

ちょっとしたおはなし。

『はじめの』

 

 

なかやまえりか