発達障害のある大人が自室のインテリアをコーディネートする、していただく際には、以下のような感覚・行動・認知の特性を踏まえた配慮がとても重要です。自分が安心し、快適に過ごせる空間にするための具体的なポイントは5つ。
---
① 感覚過敏・鈍麻への配慮
発達障害の人には感覚過敏(光・音・匂い・触覚など)や感覚鈍麻の傾向があるため、環境づくりに慎重さが求められます。
照明:
蛍光灯のチラつきや青白い光が苦手な人も。
→ 暖色系LEDや間接照明の使用を検討。
音対策:
生活音や外の音が気になる場合、防音カーテン・ラグ・吸音パネルなどで対策。
触感:
布団やクッション、カーペットの素材にこだわる。チクチクする素材はNG。
匂い:
無香料のアイテムで統一。芳香剤・アロマは使わない、または好みを確認して。
---
② 視覚情報の整理
視覚からの情報処理に過敏な人にとって、ごちゃごちゃした空間はストレスのもと。
収納は見せない:
できるだけ「隠す収納」にして、視覚刺激を減らす。扉付き収納やカーテンも有効。
色数を絞る:
インテリアの配色は「ベース1色+アクセント1〜2色」までが理想。原色や強いコントラストは避ける。
装飾は最小限に:
ポスターや雑貨も多すぎると集中を妨げる。お気に入りの1〜2点だけ飾る。
---
③ 導線と行動パターンに配慮
発達障害の人は習慣化・ルーティンを重視する傾向があるため、「どこに何があるか」が明確だと安心感につながります。
動線をシンプルにする:
物を取りに行く、寝る、着替える、作業する…などの行動ごとに動線を分け、モノの配置も連動させる。
定位置を決める:
「鍵はここ」「薬はここ」「翌日の服はここ」と、目的別に場所を固定。
ラベリング:
よく忘れる物の収納場所には、テプラやイラストラベルを貼るのも有効。
---
④ 心の安定に配慮する
部屋は「安全基地」。不安感や混乱を和らげるために、感情の調整がしやすい工夫も必要です。
安心できるコーナーを作る:
例えば「好きなぬいぐるみや本に囲まれたスペース」「落ち着けるチェアや1人用ソフア」など。
遮断スペースを確保:
過刺激が多いときにこもれる小さな空間(カーテンで仕切るなど)もおすすめ。
片づけがしやすい仕組み:
完璧主義で片づけが苦手な人には「ざっくり収納」や「仮置きスペース」も許容した設計に。
---
⑤ 自分のこだわり・好みを尊重、リスペクトする
自分の空間に対する「こだわり」や「苦手」を無視されると、大きなストレスに。
上記のポイントを一、二個だけ選び、決めすぎず、自分の意見を優先。
「好きな色・触感・形」「避けたい素材・家具」などを事前に丁寧にヒアリング。
インテリアのテーマや世界観も、本人が好きなもの(例:ナチュラル・北欧・和風など)をベースに。
---
補足:おすすめのインテリアスタイル
ミニマル(少ない色と物)
ナチュラル(木目+白+柔らかい素材)
和風(畳・障子・間接照明)
北欧風(落ち着いた色+布・木の素材)
また、以下にチェックリストも書いたので参考に
感覚の特性について(該当するものに✔)
▼ 音
□ 静かな環境が落ち着く
□ 外の音(車・鳥・人の声)が気になる
□ 自室内で音が反響するのが苦手
▼ 光
□ 明るすぎる照明がまぶしくてつらい
□ 間接照明や暖色系が落ち着く
□ 朝日・西日がまぶしく感じる
▼ 触覚
□ チクチクする素材が苦手
□ 肌触りのいい布が安心する(例:綿・ガーゼ)
□ ラグや布団の質感に強いこだわりがある
▼ 匂い
□ 無香料の空間が好ましい
□ 強い香り(芳香剤・アロマ)が苦手
---
視覚や情報整理について
□ 部屋が散らかって見えると落ち着かない
□ 物が見えすぎると疲れる(隠す収納が良い)
□ 色数が多いと混乱するので、色数を絞ってほしい
□ 物の定位置がないと不安になる
□ ラベリング(収納の場所を明示)を取り入れたい
---
生活導線と習慣について
(※いつ・どこで・何をするかの「ルーティン」を把握)
行動 主に行う場所 時間帯 必要な物
睡眠
着替え
食事
作業・趣味
休憩・気分転換
以下、参考書籍