毎日の仕事でいちばん時間を取られていたのが、メールだった。
見積書を送るとき、受け取った見積もりに返信するとき、社内研修の案内を出すとき。やることは毎回ほとんど同じなのに、敬語のバランスや条件の書き漏れが気になって、1通15分くらいかかる。1日2〜3通書けば、それだけで30分が消える。
ChatGPTに下書きを頼めばいい。それはわかっていた。ただ、毎回ゼロからプロンプトを書くのは面倒で、「ChatGPT ビジネスメール プロンプト」で検索しては、使い回せるテンプレートを探すようになった。
既存のプロンプト集で困ったこと
見つかるサイトはいくつもあった。ただ、実務で毎日使おうとすると、2つの問題にぶつかった。
書き換える部分が、プロンプトの中に埋まっている。
長いプロンプト文の途中に「{会社名}」「{金額}」「{納期}」のような変数が点在していて、全体を読みながら一つずつ置き換えることになる。見落として「{納期}」のまま送ると、AIはそのままの文字列を出力する。長いプロンプトほど見落としやすい。
コピーしたあとの手順が多い。
プロンプトを書き換えたら、テキストをコピーして、別タブでChatGPTやClaudeを開いて、チャット欄に貼り付けて送信する。4ステップ。メールを書くたびにこれをやるのは、地味にだるかった。
自分で作った
結局、欲しいものを自分で作った。「プロンプト手帖」というサイトで、仕事のメールに使えるプロンプトを場面ごとにまとめている。自分のサービスなので、正直にそう書いておく。
設計で決めたのは2つ。
変数部分をフォーム欄に分離した。 宛先、案件名、金額、納期といった書き換え部分をプロンプトの外に出して、入力欄にした。埋めると、プロンプト本文にそのまま反映される。長い文面の中を読んで変数を探す必要がなくなった。
ワンクリックでAIに送れるようにした。 「ChatGPT」「Claude」「Gemini」のボタンを押すと、入力済みのプロンプトが入った状態でそのAIが開く。コピー→タブ移動→貼り付け→送信の手順が、ボタン1つになった。
プロンプトの中身にも手を入れている
空欄を埋めるだけならスプレッドシートでもできる。使い回すうえで大事なのは、プロンプトの条件文のほうだ。
たとえば見積書を送るプロンプトには「金額、数量、納期、支払条件は入力にあるものだけを使い、計算や価格の判断、不足している条件の推測はしない」という条件を入れている。AIが勝手に税込計算をしたり、書いていない納期を補ったりすると、見積書PDFとメール本文の数字が食い違う。業務メールでそれが起きるのはまずい。
見積もりの受領返信では「発注と書いてよいのは、対応状況に発注と明記されている場合だけ」にしている。「検討中」と入力したのに、AIが「前向きに検討しております」と出力すると、相手が発注の意思と受け取りかねない。
こういった条件は、自分がAIでメールの下書きをするなかで、実際にヒヤリとした場面から一つずつ加えていったものが多い。
なぜ公開したか
はじめは自分用のツールだった。ただ、同じようにメールの下書きに毎日時間を取られている人は少なくないだろうと思い、Webサイトとして公開した。メール関連のプロンプトは現在13種類で、見積書の送付や受領返信、社内案内、日程調整、お礼、お断りなどを揃えている。
サイト:プロンプト手帖