京都市交響楽団

第692回定期演奏会《フライデー・ナイト・スペシャル》

 

以下、HPより引用↓
会場 京都コンサートホール 大ホール
出演者 広上 淳一(指揮)
藤村 実穂子(メゾ・ソプラノ)
京響コーラス(女声)[合唱指揮:浅井 隆仁]
京都市少年合唱団
曲目等 《フライデー・ナイト・スペシャル》休憩なし

マーラー:交響曲 第3番 ニ短調

 

2022年3月の広上氏の常任指揮者退任記念公演が個人的に初の演奏会であり、

その際コロナ禍の影響により延期となったプログラムである。
二年半越しの区切りとなる演奏会である。
 
22年のマーラー交響曲第1番(クラシック音楽館でも放送された。)は当時はあまり好きになれないタイプの演奏であった。
悪く言ってしまえば歯切れがよいものではなく、当時好んで聴いていた演奏とはかなり異なった趣であったと記憶している。
 
さて今回のマーラー3番であるが、こちらは十分楽しむことができた。(座席、および周りの環境も今回の方が断然によかった。)
この指揮者の持ち味が特段好きというわけではないけれども、第1楽章から第6楽章まで通して非常に感動的なマーラー3番であった。
 
1階席の中央あたりでTpなど金管セクションの音が真正面からとんでくる座席であったせいか、1楽章からかなりハイテンションな印象を受けた。悪く言えば躁状態で単調な感じもするけれども、そういうものだと受け取った。最初の35分間からオケ側の気合いの乗りようも相当に感じるところである。
3楽章のポストホルンも素晴らしく(プレトークで、氏が指差したあたりとはかなり違っていたが笑)、非常に立体的。
 
4楽章からは一転して、ニーチェを引用するなど内省的な音楽となる。ソロの藤村氏は2年半前のマーラーのリュッケルト、そして同年の12月のN響定期(ワーグナーのヴェーゼンドンク)でも聴いたところ。"Vergeh!"の箇所が一転突出して意欲的な表現であり、勝手に抱いていた中庸で禁欲的なイメージからは意外に感じた。バイロイトはじめ劇場やコンサート歌手などとしての比類のないキャリア・録音歴を見ると期待するものは当然高い水準のものになるのだが、今後この曲のソロとして登場することはあるのだろうか―本領が発揮されているのか疑問符がつかないこともないというのが率直な感想ではあり...―
パウゼを置いてからの5楽章は解放感に満ちた"Bimm bamm"から。コーラスが分離して聞こえるのは座席のせいか気のせいか。
22年の3月定期や9月定期の『復活』の時の合唱のスタイルが懐かしくもある。
 
終楽章も間を取ってコーラスを着席させてから。細かいところまではあまり記憶していないが、ここだけはかなり強烈なドライブをかける指揮で視覚的には面白い。(そこまでは例の「タコ踊り」と言われるようなあれだ。)
Flの上野さんのソロ→弦のささやき→Trbと受け継がれて「天の扉が開く」所からコーダまではやはり非常に感動的で素晴らしい。シンバルが頂上を打つまでの弦のTuttiが極上であれば言うことはないと思う。(←コンマスの体制が今後どうなるのか知らないけれども、沖澤体制で前任以上の更なる飛躍のためには見落とせない所であるのは間違いないはず。Viola首席の人事(今回はバンベルク響の方?)も気にかかる所、楽員の刷新・若返りも当面の課題な気はしている。)
 
プレトークで広上氏の口から述べられた内容であるところの楽員の自発性に信頼した曲作りというのが非常に妥当する演奏で、このスタイルは好みを別つところな感じもする。これは2年半前のテレビインタビューと同じような内容である。
ここまで到達すればシェフの任を降りるのも納得がいく。
 
京響の歴史の一頁を刻む記念碑的な演奏会に立ち会えたことへの感動がいまなお強く残る。