毎日寒いです。
快晴なのに風が強くて家の中に籠ってしまいます。
中村吉右衛門さんが亡くなられましたね。
歌舞伎は見ないし、
鬼平犯科帳も見たこともない。
この方の生涯とどうしても重ねてしまう
歌舞伎役者がいました。
吉田修一さんの
『悪人』や『怒り』 などちょっと怖いお話は
映画化されたので観たのですが、
これは映画化して欲しくないというか
むしろ不可能ではないかと思う作品。
20周年記念作品の『国宝』
青春篇。花道編の上下巻からなる長編です。
その主人公、極道の子として生まれ
歌舞伎役者になった喜久夫の生きざまが
オーバーラップするのです。
歌舞伎の家に生まれ
才能に恵まれながらも横道にそれた
ライバル俊介と
踊りが好きで容姿が美しく
努力の上に掴んだ幸運の喜久雄の
切磋琢磨してともに稀代の女形として大成する
物語ですが、その舞台の状況が
ありありと目に浮かぶのです。
いつも刑事もの、検事物ばかり読み漁っている
殺伐とした思考回路に
花吹雪が舞い散るような
清らかな流れに身を置くような、
最後まで次はどうなるの?と
留まることが惜しくなる作品でした。
薦めてくれた娘に感謝です。