恥ずかしながら柚月裕子という作家さんを知りませんでした。
2008年に『このミステリーがすごい』大賞を受賞された方なんですね。
ミステリーは大好きなのですが
いつも同じ作家の本ばかり読むので私を取り巻く本の世界は実に狭い。
読書家ではないので常に本を読んでいる訳も無く
ほんの短い時間に数ページ・・・・・、これでは最初の方を忘れてしまいそう。
この『最後の証人』はドラマ化されたようなんですが、私は見ませんでした。
しかし、本を読むだけで状況がありありと目に浮かぶし
自分で頭の中で映像化しても十分楽しめる作品でした。
この人のライフワークと言ってもいい佐方貞人シリーズを読破しなくてなならない、
そう思いました。
この佐方貞人という弁護士、いわゆるヤメ検で
風体の上がらないニコチン中毒。
小説の中では結構私のタイプです。
大好きな樋口有介の柚木草平に似ているんですよね。
基本法廷ミステリーですが事件の裏にある人の心の正義を見極めないと
正しい裁判は行われないと言ったテーマです。
ある地方の内科医の家庭に起った悲劇。
小学5年生の一人息子を交通事故で亡くすが、相手が県の公安委員長。
唯一の目撃者である 同級生の証言は、
「信号を無視して走って来た運転手は酒の匂いをさせていた 」と。
ところがそれは子供の思い違いであり、運転手には過失はない事に・・・・。
幼い命を奪われ、事実を闇に葬られた両親の無念はいかばかりか。
警察内でもみ消された事故に納得できない両親は
6年後、たまたま訪れた復讐の機会に二人は綿密な計画を立てます。
ミステリーにどんでん返しはつきものですが
私は狐につままれたような後半にあっぱれ!と思いました。