1年以上にわたって放置してしまったこのブログ…。場所をはてなブログに移動し、また再開しようと思う。

 

 というのも、ブログの引っ越しに際し、過去のブログを読み返したりしたのだが、自分が書いた文章の稚拙さや、隠しきれない自己顕示欲がこっぱずかしくなるくらいに面白かったから。自分が書いた文章で、自分の過去を振り返るって自虐性のある自分だけが楽しめるエンタメではないか…。読むに耐えないあまりにも稚拙なエントリーもあるので、そういうのを闇に葬るのにも振り返りは役に立つ。

 

 さらに、趣味のエンタメ鑑賞にあたり、自分が観たり参加した作品の備忘録として活用できるから。過去に見た作品に関するブログを読み返すと、小学生の日記みたいな記述しかなくて全くその内容が思い出せないものもあるし、その時の感動が蘇るような記述もある。後者の場合は、その作品自体の記憶が鮮明に残っているからというのも大きいが、書き続けることで感想文としてのクオリティを向上させられるのでは…と期待している。同じ作品を2度見るような機会もあるので、1回目と2回目の感想の違いとか、過去に見た作品の感想を振り返るのも、老後の楽しみとして結構楽しいのでは…と思ったりもしている。

 再開後のブログはこちら。

 

 

 

 

 

砂の女」を観た。

 

安部公房の同名の小説が原作。ケラリーノ・サンドロヴィッチさん台本・演出。主演は緒川たまきさんと仲村トオルさん。

「砂の女」のあらすじは、短い休暇を利用し、海辺の砂丘に昆虫採集にやって来た男が、一人の女が住む砂穴の家に閉じ込められ、様々な手段で脱出を試みる。しかし男は、砂の世界からの逃亡と失敗を繰り返すうちに砂の生活に順応し、脱出の機会が訪れても逃げなくなってしまう、というストーリーだ。

 

小さなころから今に至るまで、読書量が極端に少ないワタクシ。もちろん、原作を読んだことはない。それが近代日本文学を代表する傑作だとしても、読んだことはない。この舞台で、初めてこの物語の世界に入った。

 

というかこの舞台、没入感が尋常じゃない。否応なしに自分も砂の世界に入れられてしまう。身体には砂がまとわりついて、カサカサするようなかゆさといがらっぽさ。のどの渇き。髪の毛に砂が混じって、頭を掻きむしりたくなる衝動・・・。そういう感覚に陥ってしまうほどに巧みなプロジェクション・マッピングと音響効果。どうやって、動きと音・映像のタイミングを合わせているのだろう。物語の世界にすっかり取り込まれてしまった。舞台とは、現実と虚構の壁、時間、空間、、、いろんなものを一瞬で飛び越えて、その世界に連れて行ってくれるとんでもない装置だと知った。舞台を鑑賞していたその時間、ワタクシは確かに異空間にいた。

 

異空間にふんわりと浮かぶような上野洋子さんの生歌、生演奏もとても素敵だった。ミステリアスで異質な存在感。異空間へいざなう使者のようだ。

 

明かりが入らない暗がりの中、蟻地獄に落ちてしまった蟻になったように、男と女の行動変化を追いかける。緒川たまきさんが演じる砂穴に暮らす女は絶妙な色気があった。あからさまじゃなくてにおい立つようなヤバさ。蛇みたいにそっと忍び寄って、しっとりと絡みつく感じ。情事はセックスというよりは濃厚なダンスの様で、とてもエロかった。そうかと思えば少女のように無邪気な表情もあって、とても素敵だった。

 

ラジオにうっとりする女と、罠を張ってカラスを捕まえようとする男がとても人間らしく思えた。

 

我ながら、すごい体験をしたと思う。

 

☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

もしも命が描けたら」を観た。

 

 

鈴木おさむさん作・演出。主演は田中圭さん。田中さん含め出演するのは、たった三人。舞台上の大道具も必要最低限。ミニマライズされた構成だけど、月をめぐるストーリーはとても深い愛に満ちていて、物語が進むにつれて徐々に登場人物の関係性が浮き彫りになり、人を思う気持ちに胸が締め付けられる。神秘的な雰囲気と人間の生々しさが絶妙に絡み合った、とても奥行きのある舞台だ。透き通るような儚さと深い愛情。観終わった後に、浄化されたような清廉感と満足感を感じる舞台。観れて本当に良かった。

 

それにしてもこの舞台、田中圭さんのセリフ量が尋常じゃない。ワタクシが在宅勤務を開始して1年と4か月ほど立つ。一人暮らしだし、仕事は資料作成が中心だから、人と話す機会はめっきり減った。そんなワタクシが話した1年4か月分の会話と、この舞台における田中圭さんのセリフ量は同レベルなんじゃないかってくらい、すごい量だ。それを、それこそ多種多様な声色と表情で放っていて、田中圭さんという役者さんに宇宙の様な雰囲気を感じてしまった。

 

真夏の夜に、静かに深く感動できる素敵な舞台だった。

 

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

愛が世界を救います(ただし屁が出ます)」を観た。

 

 

実にパワフルなタイトル。宮藤官九郎さん作・演出のミュージカル(本当はロックオペラ)だ。タイトルと作者から察しがつくだろうが、非常にぶっ飛んだバカバカしいお話だ。

 

この演目が作り出すバイブスにはまれば、とんでもなくブチ上がるだろうし、共振できないといづい・・・。ちなみにワタクシは後者。テンション高め、気分上々。そんな状態で観劇するのがおススメ。

 

それはさておき、バンドの演奏がとてもかっこよかった。クドカンさんの細い体にモヒカンはよく似合っていたし、ドラマーとしての三宅弘城さんは、ドラマ「サ道」で見る気のいい偶然さんとは全く別の顔。楽器を演奏できる人ってホント、かっこいい。UAの息子、村上虹郎君はしっかりとUAの遺伝子を感じさせる、とても素敵な歌声だし、のんちゃんのギターもギンギンで、非常に見ごたえのある演奏だった。

 

 

 

DEEN AOR NIGHT CRUISIN' ~5th Groove~

そんなおしゃんなタイトルがついたライブに参加した。でも、タイトルとは裏腹に、ワタクシがこれまでに参加したライブの中でも、ワースト1、2を争うほどに残念なライブだった。

 

最大の残念ポイントはボーカル池森さんのMC。

「コロナじゃなかったら、今頃はもっと盛り上がってたんですけどね」

この表現、この環境下で制約のある中で目いっぱい楽しもうとしている人(他のバンドメンバーや観客)に、冷や水をぶっかけるような発言だと思う。声が出せなくても、立ち上がって歓声をあげなくても、盛り上がっていないわけじゃない、許された範囲で目いっぱい楽しんでいるのに、なんでわざわざ通常モードと比較するのか。一度だけなら聞き流すこともできたけど、さすがに二度三度ど似たようなネガティブMCが重なると、テンションはだだ下がり。途中退出したくなるほどの心持。そんなに、通常モードが恋しいなら、通常モードになってからやれよ。この状況で決行を決断したなら、制約の中での最上のパフォーマンスを出し切る、それがすべて。「過去のMAXと比べて盛り上がりに欠ける」とか誰得発言もいいとこだ。こんなMCをベテランアーティストがするなんて、にわかには信じがたかった。

 

そしてボーカルの池森さんは、ワイン好きが高じてワインのプロデュースをしているらしく、DEENワインと称して、自らが厳選した市販のワイン(赤、白)に直筆サインをいれたものを数量限定で予約販売しているらしい。MCでもそのワインについての説明があったのだが、赤ワインのLOGAN FARRELLを説明する際の発言がそれはそれは最低で。「かの有名な高級ワイン、オーパスワンの隣で育ったワインです。」ここまでは問題ない。問題発言はその後。「でも値段は月とスッポン」「オーパスワンがシャネルなら、こっち(LOGAN FARRELL)はチャンネルです」だって。本当にワイン好きなのか、耳を疑うレベルの発言だ。LOGAN FARRELLも5,000円くらいするし、おいしいワインに違いないのに、なんでそんな低俗な比較をするのだろう。もはや侮辱。ワタクシがLOGAN FARRELLの生産者なら、大切なラベルに、こんな発言をする人のサインを入れるなんて絶対に許さない。ワイン好きでもないし、お酒をほとんど飲まないワタクシだけど、この発言には腹が立ったし、こういう敬意の欠片もない発言をする人に、ワイン好きを名乗る資格はないと思う。なにがDEENワインだよ。。。

 

ワインからノンアルドリンクの話になった。その時の発言も微妙だった。緊急事態宣言下で、飲食店でのお酒の提供が原則禁止となっている。そんな中「ノンアルビールだけじゃなくて、ノンアルワインやノンアルカクテル、様々なノンアルドリンクが出てきましたよね~。ま、俺はおススメはしませんけどね」 だってさ。飲食店の方々は、何も好き好んでノンアルの品ぞろえを拡充しているわけじゃない。緊急事態宣言下の苦肉の策、お酒が提供できない中で、お客さんに雰囲気を楽しんでもらうための工夫、少しでも利益をあげる工夫でそうしているはずだ。にもかかわらず、偉そうに上から目線で「おススメはしませんけどね」って。しかも、あなたが今立っているこのビルボードも、提供してるドリンクはソフトドリンクと、ノンアルドリンクだけです。その状況下でこうした配慮のない発言をしてしまうって。もはやアーティスト以前に人としてどうなのかってレベルじゃない?

 

もう一つの残念ポイントは、池森さんのパフォーマンス。というか体の動き。歌はともかく、体の動かし方がとにかく中途半端。やりたくないのか、テレがあるのか知らんけど、どこかぎこちないしダサい。例えダサくっても、一生懸命やってる人ってめっちゃ楽しそうじゃん?で、その熱量が見てる側にも伝わるからこっちもテンション上がって楽しくなるんだけど、池森さんには楽しそうな雰囲気がほとんど感じられない。やりたくないなら、無理してやらなきゃいいのに・・・と思ってしまうくらいだ。

 

というわけで、楽曲に酔いしれる以前に、MCやパフォーマンスに楽しい気分をそがれてしまって、ワタクシはしょぼんとするばかり。

 

コロナでずっと在宅勤務で、毎日ほぼ家にいる生活。ビルボードライブなら、密になることもないしアルコールの提供もない。ショーの時間は観客はマスク必須だから、比較的安全だと思って今回のライブに参加した。DEENファンではなく、正直DEENの楽曲は「このまま君だけを奪い去りたい」しか知らない。ただただ息抜きが目的で参加した今回のライブだが、家にいた方がよかったなと思ってしまうほど、残念なライブだった。今後ワタクシがDEENのライブに行くことは二度とないと思うし、自ら進んでDEENの歌を聴くことはないと思う。

 

あまりにも残念だったので、アンケートに上記の様なコメントを書いてやろうと思ったが、長くて読んでもらえないだろうし、好きでもないアーティストのためにエネルギーを使うのはもったいないなと思ってやめた。

でも、ワタクシの残念な気持ちは一向に浄化しなかったから、結局こうしてブログに長~い愚痴を書いている…。

コロナで時間を持て余し気味なんだ…。やれやれだぜ。