デカガール
芳崎せいむ(画)長崎尚志(作)
講談社 KCDX
全6巻
1巻発行日 2009/1/30

刑事に憧れ警察官になった日野まる香。だが、刑事課配属の希望は通らず、自分の才能にも限界を感じ、見切りをつけるつもりだった。そこに立て籠り事件が発生。まる香の思わぬ才能が発揮され、刑事になる夢が叶うことになった。立て籠もり犯が「腹が減った」と出前を要求してきたのである。刑事が店員を装って食事を届けようとしたがバレて撃たれてしまう。それで白羽の矢が立ったのがまる香である。彼女は実家がそば屋で、配膳や出前の経験がある。警察官だが、本物のそば屋でもあるのだ。

 

配膳用のお盆に食事を載せた彼女は、犯人が受け取ろうとする瞬間に、食事を犯人の顔にぶちまける。犯人がひるんだ隙に大勢の警察官がなだれ込んで取り押さえることができた。犯人にビビッてお盆を落っことしたということに表向きはなっているが、これはまる香がわざとしたことであった。人質にとられていた元妻と子から、「恐怖でもう限界」という匂いを感じ取ったからである。

 

感情から来る生き物が発する匂い。これを感じ取ることができるのが、まる香の特技である。動物研究家(実は獣医になりきれない引きこもりの兄)のせいで、家には犬と猫が4匹ずついるし、昔から動物に囲まれて暮らしていた。そうして身につけたものだった。

 

犯人にビビったのではない、わざとやったんだ。それを見抜いていた上司によって、まる香は県警捜査一課に移動することになる。こうして彼女は念願を果たし、刑事としての一歩を踏み出すのである。



2622