交響詩篇エウレカセブン

BONES(原作)片岡人生・近藤一馬(作画)

角川書店 角川コミックス・エース

全6巻

1巻発行日 2005/7/26

 

偶然、アニメで観て知った作品。「アニメを偶然で観ることなんてあるの?」ってアニメ好きには言われそうだけど、毎週の放送日を狙って帰宅するとか録画するとか、当時の自分にはそんな習慣はなかったのだ。仕事だっていつ帰れるかわからないし、たまたまくつろいでいる時間にテレビをつけたら、この番組をやっていた。

そうして知った漫画は他にもある。「ご近所物語」とか「ラブ☆コン」とか「クジラの子らは砂上に歌う」などである。最近では無いけど、それでも「フリーレン」なんかは「存在は知っていたし、気になっていたけれど、アニメで観て初めて原作を買い始めた」作品だ。

 

で、「エウレカ」はどうだったかというと、画面で観て圧倒された。

空中でサーフィンをしているのである。

そこにとてつもない爽快感を感じたのだ。

 

どういった世界観なのかもわからないし、なぜそんなことができるのかもわからない。

 

舞台は地球ではないようで、そういうことが可能などこかの惑星である。

目には見えないが、「トラパー」とかいう粒子が空気中を流れており、これが浮力をもたらす。トラパーは必ず空気中にあるわけではなく、地震によって発生し偏西風に乗って流れてくるらしい。いや、設定や世界観の理解に間違いがあったらゴメンナサイ。

 

人間は海に沈むが、ボードの上で波に乗ればサーフィンできる。これと同じことが空中でできるのだと考えたらわかりやすい。いや、設定や世界観の理解に間違いがあったらゴメンナサイ。大切なことなので2度、書きました。

 

14歳の少年、レントンは、この空中サーフィン、ここでは「リフティング(略称リフ)」に夢中だ。学校では退屈に過ごしている。父親は英雄で世界の危機を救ったらしいが家にはいない。生存しているのかどうかについては、1巻の最初には描かれていない。

 

サマー・オブ・ラブ。これは史上最悪の大災害でした。そう教師が説明するシーンは、なんだか「エヴァンゲリオン」のいつも同じ大災害の説明のシーンばかりの授業風景を思い出させる。その史上最悪の大災害から人類を救ったのがレントンの父なのだが、レントンは英雄にも軍隊にも興味がない。ジャンク屋の祖父に育ててもらっているが、ジャンク屋にも興味はない。ただし、その家庭環境のせいで、機械や部品には詳しそうだ。

 

レントンが憧れているのは「ゲッコーステイツ」。反政府ゲリラとしてステルス機で空中を自由に移動し、リフに関する月刊誌を発行している。乗組員はみんなリフのベテラン勢だとレントンは思っている。

 

ある日、そのジャンク屋に、LFOが墜落してきた。

LFOとは、人型の巨大なロボット兵器で、「マジンガーZ」でも「ガンダム」でもないから、人間と同じように巨大ロボなのに人間の操縦によってリフティングができてしまう。操縦していたのは、超ミニスカートの美少女、エウレカだ。彼女はゲッコーステイツの一員であり、そのLFOはゲッコーステイツが所有する特殊なものでニルバヴァーシュという。ジャンク屋にあるとある部品を装着することで、なんだかすごいことになるようだ。

 

ゲッコーステイツの所有するLFOが軍のレーダーにより発見され、街はずれ(らしい)の一角にあるしがないジャンク屋に、軍のLFOが押しかけてくる。墜落して修理が万全でないニルヴァーシュに搭乗したエウレカは脱出をはかり、それを軍が追尾する。それを助けたのがレントンである。

 

国や軍によりもたらされた平和の中にいればいいじゃないか、平和の何に不満なんだと日頃ぼやいている祖父だったが、ゲッコーステイツへの憧れを抱いているレントンの気持ちは理解していたのだろう。特殊な部品をレントンに渡し、それを持ってレントンは、リフにより空中にいるニルヴァーシュにたどり着く。部品とレントンとエウレカの2人操縦により軍を追い払ったニルヴァーシュは、ゲッコーステイツのステルス機である「月光」に帰還。こうしてレントンも仲間に加わるのである。

 

以上がプロローグ。ここからが本編である。エウレカに似ているが暗い雰囲気を漂わすアネモネ、人類が接触すれば死につながるというコーラリアンなる存在、軍は人類を守るために何と戦っているのかという根本的な疑問などなど、色々このあと出てくる。スタイリッシュなメカや、美少女とは対照的に、「この作品のこの作風で、こんなグロいシーンを見せつけられるとは」なんてのもある。悲劇を伴いながらも救いの多いラストで、とりあえずほっとしたって感じかな。

 

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