銀座の番ねこ
高梨みどり
講談社    イブニングKC
全3巻
1巻発行日 2006/7/22

 

性描写中心の作品も多い高梨先生だけど、こちらはエチ無し、女性バーテンダー2人が営む銀座のバーのお話。

 

とあるキャバクラで指名№1のミケが、大勢の常連客に惜しまれながら、退職をする。銀座に念願のカクテルバーを開くのだ。恋人の拓也がやっているスナックを、店と奥の居住スペースごと「やるよ」と言ってくれたのだ。拓也自身はそれで自分の生活はどうするんだろうと、読者である僕がその時点で不審に思わなかったのも不思議なおだが、物語の中では「一人でお店を切り盛りするのは不安」というミケに、「慣れるまでは一緒にやってあげるよ」と拓也は言っている。そして、改装資金として250万円を拓也に預けるのである。

 

しかし、拓也はお金を持って逃げ、代わりにそこにいたのは、もう一人の女、アメショーだった。彼女もまた、同じ話を持ち掛けられており、お金もだまし取られていた。

 

大家さんの「ふたりでやってくれたら安心」という言葉もあって、一人の男を実は分け合っていた女2人、ミケとアメショーは、バーを共同経営することになる。

 

ミケはキャバクラでカクテルを作って客に出すのを得意としていたが、酒の席の遊びの延長線上に過ぎない。だが、客あしらいはうまい。一方アメショーは、亭国ホテル(漢字が微妙)のチーフバーテンダーを務めており、国際コンクールで入賞の経験もある。おせっかいなほど客に寄り添うミケに、入り込みすぎとアメショーはいい顔をしないが、ともあれ店はスタートした。そして、経営はどんどん傾いていくのだ。

 

アメショーは資金稼ぎとミケの一人立ちの二兎を追うため他店ヘルプに出る。ミケはバーテンダーとしての箔をつけるため、コンペ優勝を目指して特訓に励む。応援してくれる人もいるし、厳しい注文をつける客もいるが、根底にあるのは、バーテンダー人情ストーリー。

カクテルコンペはどうも「サントリー」と「ニッカ」を混ぜたような企業がモデルになっているようなのだけれど、それらの社がそういうコンペを主宰しているのかどうかは知らない。基本的には自社製品のPRなので、参加者はその社の製品を使う。もちろん使わなくても違反ではないのだが、使う場合はそのお酒が提供されるのだ。

 

だが、ミケは独自に考案したカクテルを出すことにしたため、社の製品は使わない。この場合は、全て自分で用意しなくてはいけない。その酒が、コンペ前日に心無い客によって盗まれてしまう。(コンペを妨害しようなどという意図はなかったのだが)

 

そうして困難を乗り越え、なんとかコンペにオリジナルカクテル作品を出すことができたミケ。だがそう簡単に優勝などできるわけがない。ただ、優勝とはいかなかったけれども、確実に結果を出した。間違いなくそれはすんごいカクテルだった。

こうして2人は、少しずつ成長し、お店も少しずつ繁盛してくのだが、そこへ2人をだましてお金を持ち逃げした拓也が帰ってきた。金は返すから、2人とも出て行ってくれと勝手なことを言う。当然、一波乱起こるわけだが。と、まあそんなストーリーである。

 

 


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