バキ特別編SAGA
板垣恵介
秋田書店 ヤングチャンピオンコミックス
全1巻 2002/12/30

 

今でこそ刃牙のスピンオフ作品はたくさんあるが、この頃はスピンオフそのものがあったのかどうか。「バキ SAGA」もいわゆるスピンオフではなく、本編の一部を特別編としたもの。刃牙と梢江の初体験である。内容が内容だけに、少年チャンピオンではなく、ヤングチャンピオンに掲載。初体験というだけなら少年チャンピオンでも問題はなかったのだろうけれど、それを渾身の力を込めて描くには少年誌ではちょっと、といったところだろうか。

 

そういうわけで、一冊まるごとセックスである。それぞれが相手の胸の先端に指を添える。その瞬間、刃牙と梢江は同時に全身を痙攣させる。その衝撃に、「セックスが始まったら、どうなってしまうんだ?」と、2人して悶え悩む。

 

刃牙にかかればセックスも格闘技。それ以外にレビューのしようがない。「快感」という単語に、「ダメージ」とルビがふられる。場所は刃牙の家。畳の上である。全裸ではあるものの、それはまるで道場での実践稽古。あるいは、「道場破り」との決戦といっていいかもしれない。

裏表紙に刻まれた文字は「男が雄であるために、避けて通れないもう一つの真剣勝負」。なるほど、セックスとは格闘技であり、ダメージを与えるものなのだ。

 

滑稽でもあるが、笑ってはいけない……ッッ

 

160ページほどなので、本の幅を一般的なものにするためだろう、厚めの紙が使われている。しっかりしすぎていて、ちょっと読みにくい。それでもB6サイズ本体価格552円なのだから、随分安かったんだなあ。

 

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