ブリッツ・ロワイアル
高見広春(原案)
富沢ひとし(作画)
秋田書店 ヤングチャンピオンコミックス
全2巻
1巻発行日 2004年1月20日
 
中学生3年生の中から毎年50クラスが選出され、それに選ばれた彼ら彼女らは、無人島など隔離が可能なエリアに連れて行かれ、逃げることができないその場所で、最後の一人になるまでクラスメイトどうしで殺し合いをさせる「プログラム」に強制参加させられる、というのが前作「バトル・ロワイアル」だが、その2作目がこの「ブリッツ・ロワイアル」だ。
 
自分は「運が悪い」という自覚のある橋本真恋人(まこと)は、何か予感があったのかもしれない。修学旅行を目前にして、本能的に拒絶反応を示してしまう。友達にも家族にも「そんなわけないでしょ」と言われ、級友からは「この前、50クラス目が選ばれたらしいから、自分達は絶対大丈夫」と告げられる。
 
実際、橋本らは無事に修学旅行の一夜目を迎えることができた。全ては橋本の杞憂だったのか?
 
そうではなかった。最初の夜の就寝中に軍人が彼ら彼女らの宿泊する旅館に押し寄せ、港に連れて行かれ、「諸君らは本日これより、専守防衛学校への編入が決定した」と告げられる。これは海軍によるプログラムであって、従来の「年間50クラス」という「プログラム」とは別に、新たに考案されたものらしいと示唆される。
 
わずかな水と食料と、人により異なる武器を渡され、いきなり「最後の一人になるっまで殺し合え」と言われる前作と異なり、ここでは4人1組の班を編成させられて、命の保証のない課題が与えられる。生き残るためには、月曜日から金曜日の間に行われる授業を受けたあと、土日に実施される「試験」に合格すれば良い。だが、これまでに合格者は一人も出ていない、ということだった。
 
船に乗せられてやってきたのは専守防衛学校があるという島。住宅などもあるが、住人はおそらく追い出されており、無人島状態。そこで最初に与えられた課題はゴミ拾いだった。実態はここで死んでいった中学3年生の遺体の回収である。
 
橋本たちは海軍兵に取り囲まれ、いかに反抗が無駄なことかを叩きこまれる。前作と異なり、そこかしこに海軍の見張りがおり、かつての生存者(合格者は出ていないが、何らかの役割を与えられて島に残っている者はいるようだ)も投入され、おそらく海軍の独自プログラムをよく思っていない勢力(陸軍と思われる)の侵入もあって、生徒同士の殺し合いではなく、軍人たちによる本当の戦闘も始まってしまう。
 
なぜ「プログラム」が行われるのか、前作にも大義名分があったが、今回は「特質を持った生徒が生き残る」ように仕向けられており、戦利品という名の役割が与えられる。
 
2人が生き残り(最後の一人になるまで殺し合うわけではなさそうだ)、2巻で完結。打切なんだろうなとは思うものの、一応まとまっている。そして、この島にまた新たな「編入性」が送り込まれてくる。生き残りの2人は、さらに生き残るために、継続して殺し合いをしなくてはならないのだろう。最後の一人が決まったら解放される前作と比べると、こちらの方が遥かに残酷だ。
 
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