猫mix幻奇譚とらじ
田村由美
小学館 フラワーコミックスアルファ
1~6巻
1巻発行日 2008/1/30

猫とネズミの対決譚。

 

すぐに彼が「勇者」と呼ばれる者の一人であることが読者に示されるその男、パイ・ヤンは、ある村で宿をとった。連れているのは猫mixのとらじ。ただの猫ではない。見た目は猫だが、2本足で歩き、服なんか来ていたりする。猫と人間のmixなのだ。元はパイ・ヤンの息子リオの飼い猫。それが魔法のネズミによってもたらされた。しかも、息子を連れ去った。

 

パイ・ヤンの目的は、魔法のネズミを見つけ、息子を取り返すこと。

彼は宿のあるじに、「このあたりに、ネズミに滅ぼされた村」のことと、「魔法のネズミを知らないか」と訊く。あるじは、その村は山をひとつ越えた先の村のことだろうと答え、魔法のネズミについては「さあ、きかないねえ」と返事する。

 

そして、パイ・ヤンととらじは宿のあるじの勧めで風呂屋へ行く。
だが、その風呂屋で剣を預けたばかりに、ネズミに襲われることになる。

そこに現れたのが、伯爵と呼ばれる犬mixだった。この世界には、猫だけでなく、犬のmixもいるのである。

ともあれ、パイ・ヤン達は孤立無援ではなく、味方してくれる者もいることが示された。こうして魔法のネズミと息子を探す旅は続く。

 

伯爵の助けを得て、風呂屋になりすましたネズミを退治したその後には、廃墟が現れた。ネズミに滅ぼされた村とはまさしくこの村のことであり、いままで見せられていた「宿屋」や「風呂屋」は、夢のネズミによる幻影だった。

 

1巻の話タイトルには、登場する悪いネズミの名前がついている。

・勇者と風呂と夢ネズミ

・薔薇と王妃と影ネズミ

・子猫と子猫と歌ネズミ

・犬と夜霧と灯台ネズミ

・黒猫と雨と新聞ネズミ

といった具合である。

 

なるほど、様々な悪いネズミと対決して、打ち破りながら旅を続け、最後には魔法のネズミを退治する、ということか。

 

作品としては面白い。だが、長い。6巻で失礼させていただいた。

まだ続いているようなので、気が向いたらまた続きを買うことになるだろう。


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