ブラック・ジャック
手塚治虫
秋田書店 少年チャンピオンコミックス
全17巻
1巻発行日 2004/11/16

改めて作品紹介をするまでもなかろう。法外な報酬を要求する無免許の天才外科医ブラック・ジャックこと間黒男を主人公としたヒューマンストーリー。自宅兼診療所に手術室や様々な検査機器、おまけに入院の設備まであるとなれば、当然維持費はかかる。おまけにトレードマークでもある黒マント、その内側にはメスや鉗子といった手術道具がズラリと備えられている。屋外でも手術できるようにアタッシュケースには独自に開発した携帯用(使用時には膨らませる)無菌室まで装備されていて……というような理由ではない。

 

後付けなのか設定としてあったのかはわからないが、法外な報酬を要求するにはわけがあった。これだけの作品だし、作者は漫画の神様、いくらでも読む機会はあるだろうから、ネタバレはやめておく。

 

なんてことを書いておきながら、僕は手塚先生の作品をほとんど読んだことがない。この「ブラック・ジャック」と「火の鳥」と「プライム・ローズ」だけである。色んなところで様々な作品を目にし、つまみ読みはたくさんしたけれども。

 

しかも、週刊少年チャンピオンを毎週買っていたにも関わらず、コミックスにまでは手が伸びなかった。全集には必ず収められているだろうし、文庫版やら豪華版やら異なる版でいくつか出ているのも知っていたが、どうにも躊躇してしまう。どこかから「収録されていない作品がある」なんて情報も聞えてくるし……。

 

そんな時、「チャンピオンコミックス」の装丁で「新装版」が出ると知り、「これだ!」と買い集めたのが、僕の所持する「ブラック・ジャック」である。

 

少年チャンピオンコミックスとして新装版が出たので、これを揃えました。やっぱチャンピオン連載作品なので。

 

 

全17巻で、1冊が分厚い。300ページをちょっと超えるボリュームである。

しかも、16巻と17巻には、連載終了後にリバイバル復活した作品群がおさめられている。その中には、複数回にわたる連続ものも含まれる。

 

さて、最終17巻のラストには、「完結」の文字が見える。でも、本当にそうなのだろうか? これだけ繰り返し新作が掲載されているのだ。手塚先生は機会があるごとに単発で作品を発表しようという気持ちが強かったのではないだろうか。つまり、「ブラック・ジャック」は未完である。私はそう思う。

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