44歳の彼女
ホリユウスケ
日本文芸社 ニチブンコミックス
全1巻 2024/1/10

 

自然体で生きてきたら、独身のまま中年になっていた。

いや、「自然体」は僕の解釈だけど、ね。

 

王寺竜丸(44)は、動物フィギュアの原型師。マンションの401号室で一人暮らし。ある日、隣の部屋からただごとならぬ夫婦喧嘩の罵り合いが聞こえてきた。

さらにその隣の部屋、403号室でも、それを聞いていた女性がいた。大庭希厘(44)。レストランのオーナーシェフ。ふたりともそのただごとならぬ「夫婦喧嘩」の部屋へかけつける。

 

こうして、おじさん(44)とおばさん(44)が知り合い、恋に落ちてゆく。恋愛なんてもう縁がないだろうと諦めてたけ2人だったのに。

 

ポイントは、2人ともちゃあんと仕事をしている、ということ。動物フィギュアの原型師も、レストランのオーナーシェフも、後ろ盾の無い個人事業主だけど、後ろ盾なんかなくても、それぞれ自分に嘘をつかずに、自分の納得のいく仕事をして、そして生計を立てている。立派な社会人だ。

 

ただ、キャラ造形が、僕の好みではない。

こんなのは読み手の好き嫌いの範疇であって、物語のクオリティーとは関係ないことなので、わざわざ書かなくてもいいようなものだけれど、このブログは「エッセイ」であって、「漫画評論」ではないから、それくらいいいでしょ?

 

希厘の胸と尻が強調されすぎてて、「やりすぎだよな」という想いがどうしても浮かんじゃうので、漫画に夢中になれないのだ。竜丸が、のぼ~っとした感じなのは、現実離れしたハンサムを登場させるよりはるかにリアリティーがあって、好感度を抱くんだけれどなあ。

 

それと、周囲に出てくる「取り囲みキャラ」が、あまりにもどうでもよすぎて、それよりもっと希厘竜丸のことが深堀りされてたら良かったのになあ、と思ったりもする。周囲の人間から堀を埋めていくのもひとつの手法なのはわかっているのだが、まあこれも、読み手である僕の好みの問題か。

 

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