海月と私
麻生みこと
講談社 アフタヌーンKC
全4巻
1巻発行日 2013/8/7
2023年、X(旧Twitter)のTLで流れてきて、「読んでみたいな」と感じた作品。比較的新しい作品だと思い込んでいたので、「なんでもう手に入らないんだよ」となったが、古書で入手してみたら1巻はもう10年も前の発行だった。昭和の頃は10年くらいで絶版にはならなかったと思うのだけど、昨今は売れ残りはあっさり処分されるんだろうね。
辺鄙な地で営業する客室3室だけの民宿「とびうお荘」が舞台。銀座で板前修行をした主人が高齢の仲居一人を雇い切盛りしていだが、彼女も他界。廃業を決意し、予約済の客だけこなそうと、短期の仲居を募集。そこにやってきたのは、身分証を持たない、いかにも訳ありな若い美女だった。
主人は若干の不安要素を胸に抱きながら、なんとなく彼女(梢)のペースに流されて、廃業までの短期間、彼女を雇うことになってしまう。だが、美人の若い女性という要素もあって梢は妙に客のウケが良く、また、「立ち聞き」という機会を得て、心の機微に入り込んでしまう。主人は梢を何度となく「詮索するものではない」とたしなめるのだが、あまり効果はなさそうだ。多少(かなり?)おせっかいではあるが、あっという間に「とびうお荘」のなくてはならない存在に。
だが、主人の不安は膨らむばかりだ。ふらりと現れた彼女、「今度はふらりと居なくなるのでは?」と。TVの取材で顔が映ることを拒否したり、怪しげな興信所の男が訪ねて来て、名は違うものの梢に似た写真を見せられたりと、どうも何かありそうだ。
その不安は的中。やはり梢は、訳ありだったのだ。その「ワケ」とは、ある人の傍に潜み、ある事を確認することだった。だがそのせいで、利害関係のある者により、彼女は拉致監禁されてしまう。それを宿の主人、植木屋、魚屋、雑誌記者の連携協力(?)で、ナンとか、なった?
多少のサスペンス要素の後、物語は大団円。2時間ドラマの原作に良さそう。
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