今日のさんぽんた

田岡りき

小学館 ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル

1~7巻

1巻発行日 2020/10/17

 

僕はワンコ好きなのだが、そういえばワンコがなくてはならない漫画って、しばらく読んでないなあとか思っていた。そんな折、Twitterのタイムラインに流れてきた作品が、「今日のさんぽんた」と「世界の終わりに柴犬と」であった。

 

これ以前に読んだ漫画が、桜木雪弥先生の「いぬばか」とか、中垣慶先生の「TOGETHER!」などで、どちらもペットショップが主な舞台のひとつになっている。いずれもコメディだが、リアル寄りだ。

 

だが、「世界の終わりに柴犬と」は犬が人間と会話でき、「今日のさんぽんた」は主人公のりえ子の「語りかけ」に対して、「ポン太」が日本語で心の中で突っ込む。読者はぽんたの心の呟きを日本語で読めるのである。これをファンタジー寄りと表現するのは違うと思うけど、作者が用意したこの作品のルールではある。少し気勢があがらなかったのは本音なのだが、とにかくしばらく買ってみることにした。

 

各話タイトルは、ポン太の「年齢」から始まる。1巻1話は、「11歳3月 お別れ」というタイトルだ。高校を卒業し、大学に進学するに際し、りえ子は大学の近くに部屋を借りて一人暮らしをすることになる。だから、最後の「散歩」ということらしい。

 

りえ子ポン太との思い出を、ポン太に聞かせるように語りながら散歩をさせるのだが、ポン太は感傷的になったりはしない。りえ子ポン太にとって、どうやらただの散歩係である。りえ子がいなくなったあとは「多分父親が散歩につれてってくれる」とりえ子が言えば、「その方がありがたい」とポン太は心の中で呟く。りえ子の散歩は雑なのだそうだ。ポン太をして「散歩の付き添い要員」と言わしめている。

 

物語は時系列ではない。1巻2話は、「10歳4月」となっていて、りえ子は受験勉強をしなくてはいけないから、「今日からしばらく一緒に散歩にいけない」「今日の散歩もさくっと終わらす」と宣言している。だが、実際の散歩では受験勉強のことなどどこ吹く風、「こんな道みたことない。なあ、なかったよな?」とりえ子ポン太に話しかける。散歩を満喫しているのである。一方ポン太は心の中で「普通にあった」と返事する。「ちょっと行ってみるか。探検や」と知らない道に足を踏み入れるりえ子に、ポン太は「さくっと終わらすんじゃなかったか」と突っ込む。

 

まあ、万事がこんな感じだ。

ストーリー漫画のコマ割りであるが、話の構成としては、連続性のある4コマ漫画である。これが現時点で7冊もコミックスが出ているのだから、膨大なネタの量だ。驚異的な作品である。

 

ただ、「飼い主ボケて、犬つっこむ」のパターンに終始せざるを得ず、時系列でないのでりえ子はいつまでもちょっとおバカなままであり成長しない(させられない)というのもあり、私という読者に限ってはちょっと飽きてきた。

 

いくつもの作品が掲載されている漫画雑誌の中に、こういう作品がひとつ存在しているのは好ましいのだが、コミックスで1冊分続けて読む、というのは多少しんどいとも思う。

 

そこで、いったんこの作品を追いかけるのは休止して、リストに掲載の上、今後おそらく動きがないであろう本を収蔵する本棚に並べることにした。この先、この作品に大きな動きがあって「読むべき」と感じた方がおられたら、連絡を乞う。