マドンナリリー
篠原知宏
講談社 モーニングKC
全2巻
1巻発行日 2023/3/8
白ノ澤女子高生徒会役員。
会長、副会長、会計、書記。
これらの役職は、立候補や選挙で決められるのではなく、成績による。
イメージとしては、品行方正、成績優秀。だが、彼女達には、それぞれ秘密がある。
生徒会長、桜木樹里、3年。
生徒会顧問であり美術教師である先生の絵のモデルをつとめることになり、先生との関係がただならぬものになってゆく。
副会長、幸坂美継、3年。
夜ごとにクラブを訪れては、好みの男を漁り、セックスにふける。クラブでは彼女が誰を選ぶかで盛り上がるくらいである。
会計、姫塚真琴、3年。
パパ活に精を出している。わけあって一定額のお金を貯めようとしているが、大人の関係を伴わないパパ活では金額もしれており、その先へ踏み出すのも時間の問題に思われる。
書記、椎橋花音、2年。
レスビアンで会長に惚れている。嫉妬から事件を起こす。
こうして、人には言えないもうひとつの顔を持つ4人が蠢き、大きなうねりとなって学園を巻き込んでゆく。
2巻で終わってるから打ち切りなのかなと思ったりもするし、生徒会4人のお話だから無理に引っ張るより2巻くらいが適切かなとも思ったりするが、それなりに大人になりました的な後日譚は蛇足だったかも。
ところで、この作品は1話から失敗していると思う。あえて言うと、これは編集の責任だと思う。
白百合をイメージさせる清楚な女子高の雰囲気と、やがて「おしべが粉を吹き自らを汚してゆく」といった意味深なナレーション(地の文)で始まってるのだから、「女子高」ではなく「女子高等学校」とすべきだし、「3年」ではなくて、「3年生」とすべきだと思うのだ。
こうした細かなことが、雰囲気をひとつひとつ積み上げもするし、崩しもする。
作家がそのように原稿に書いていたとしても、ここは編集者が書き直すべきだったろう。
実は僕も最初は気付かなかった。読み返してみて、「あれ?」と思ったのだ。最初は気付かないような些細なこと。でも、2度目には、明らかな違和感を抱いた。
「そんなの、お前だけだよ」というのであれば、どうか捨て置いていただきたい。
他にも設定の弱いところ、気になるところがあるが、これには触れないでおく。
ストーリーを変えることなく、設定に少し説明を付け加えて「なんでそうなの?」という疑問が残らないようにしてやることで解決が可能な部分だから、ちょっと残念だなと思うのだ。
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